指向性スピーカー「Soundlazer VR」

「Soundlazer VR」は、自分の周りにだけ音楽を届けてくれる指向性スピーカー。身体に装着しなくて良いヘッドフォンを目指して開発された。

真下にだけ音を届ける「Soundlazer VR」
自分の周りにだけ音楽を届けてくれる指向性スピーカー 「Soundlazer VR」

製品名に含まれる「VR」は、“ヴァーチャルリアリティ”を意味している。視覚的なヴァーチャルリアリティでは、ゴーグルを装着すると他の人には見えない何かが見える。これに対して「Soundlazer VR」は聴覚的なヴァーチャルリアリティ。スピーカーの直下にいると、他の人には聞こえない音が聞こえる。


視覚的なVR体験イメージ
視覚的なVR
彼女には、我々には見えない何かが見えている

聴覚的なVR体験イメージ
聴覚的なVR
他の人には聞こえない何かが聞こえる
その感覚には思わず、笑ってしまう?

通常のスピーカーとの違いは、スピーカーに平面アレー型が採用されたこと。従来のコーン型スピーカーでは音があらゆる方向に散らばってしまうが、平面アレースピーカーでは音は音源と並行に、ほぼ一方向に進む。このスピーカーの採用により、ピンポイントで音を届ける「Soundlazer VR」が実現した。

平面アレー型スピーカーと、コーン型スピーカーの違い
「Soundlazer VR」に採用された平面アレースピーカー(左)と
従来のコーン型スピーカー(右)

使い方はいろいろ。例えばオフィスで使用すれば、従業員一人一人が自分の好みの音楽を聞くことができる。ヘッドフォンを装着して仕事をする場合、電話のベルが聞こえなかったり、同僚からの問いかけに応えられなかったりすることがあるが、「Soundlazer VR」を採用すれば、業務に支障がでにくいだろう。

「Soundlazer VR」使用例:オフィス利用の場合
オフィスで使えば、各従業員が自分好みの音楽を聴ける
電話応対などにも支障はでない

美術館でも「Soundlazer VR」は活躍できる。例えば絵の前に人が立ったときだけ、絵の解説を音声で流すといったシステムを構築可能だ。その人が別の絵の前に移動しても大丈夫。前の絵の解説は聞こえなくなるので、混乱することはない。

「Soundlazer VR」使用例:美術館での利用
絵の前にいる間だけ、その絵の解説をピンポイントで

子どもたちがゲームをする際にも便利だろう。臨場感を高めるために大音響でゲームをしていたとしても、「Soundlazer VR」を使用していれば、少し離れた場所にいる人は静かに過ごせる。

「Soundlazer VR」使用例:子どもたちのリビングのゲーム
彼らにだけは、ゲーム音が聞こえている!

天井から吊り下げるタイプの「VR Full Size」の他に、デスクトップタイプの「VR Junior」も用意された。

「Soundlazer VR」デスクトップタイプ
机上に置くタイプの「VR Junior」
後ろの人はうるさいかも?

開発者のRichard Haberkernさんは現在、「Soundlazer VR」の市販化に向けてクラウドファンディングサイトkickstarterで出資者募集のキャンペーンを実施中。本稿執筆時点では、229ドルの出資で「VR Junior」を、239ドルで「VR Full Size」を1台入手可能だ。出荷は2016年10月を予定している。

「Soundlazer VR」は、Bluetoothデバイスに対応