与信審査を省略して利用できる自動車ローンが日本で普及するかもしれない。住信SBIネット銀行とモノのインターネット(IoT)企業グローバルモビリティサービス(GMS)がこの分野で提携、検討を始めた。
GMSは、日本でもクルマを購入したいが与信審査を通らない人々は多いとしており、事業機会と見て、対策となるよう新たな自動車ローンを住信SBIネット銀行とともに構想している。
GMSが開発したIoT機器「MCCS(Mobility-Cloud Connecting System)」を生かす考え。MCCSはクルマに取り付けると、位置情報などをリアルタイムで収集し、さらに遠隔操作で走行できない状態にすることも可能。
ローンの返済支払いが遅れた場合にはクルマを使えなくし、滞納が続けば位置情報をもとに回収する、といった使い方ができる。国内では2015年にトヨタ自動車の「プリウス」に搭載し、実証実験を行ったので、覚えている人もいるかもしれない。
海外の導入事例としては2015年にフィリピンの都市部で、低所得者が与信審査ぬきでMCCS付きのクルマを使えるサービスを始めている。
背景には環境問題がある。大気汚染に悩むフィリピンでは政府が排気ガス量の多い古いトライシクル(商用三輪車)などの走行を止めようとしているが、低所得者は新型へ買い換えるにも、購入時の与信審査を通らない場合がある。問題を解消する1つの手段としてMCCSの導入が進んだかたちだ。なお、これまでの運用で、まだデフォルト(債務不履行)による車両回収は0台という成績だそう。
果たして日本では普及するだろうか。