愛車を電動アシスト自転車に変えるSemconの「スマートエンジン」
愛車を電動アシストにトランスフォームできるコンバージョンキット「スマートエンジン」

スウェーデンに拠点を置くグローバル企業Semconは、愛車を電動アシストにトランスフォームできるコンバージョンキット「スマートエンジン」のプロトタイプを発表しました。取り付けの容易さや驚きの安さなど、いくつもの特徴を持つ製品です。

ひとつ目の特徴は、装着が簡単なこと。これまでのコンバージョンキットは、取り付け時にクランクの取り外し作業などが要求される、経験の少ないビギナーにはハードルが高い製品でした。


コンバージョンキットadd-e
参考画像:コンバージョンキット「add-e」取り付け作業
クランクの取り外しが必要

「スマートエンジン」の取り付けは、シートチューブに本体をネジ止めするだけ。専門知識がなくても、最低限の工具で取り付け可能になっています。

「スマートエンジン」の取り付け:シートチューブに本体をネジ止め
「スマートエンジン」の取り付けは、シートチューブに本体をネジ止めするだけ
ベルやライトの取り付けと同じレベル
ただし、泥よけが付いていたらアウト、ですが

駆動方式は、モーターの動力を直接後輪に伝えて自転車を前進させるタイプ。このシンプルな構造が、簡単な取り付けを実現しました。

もうひとつの特徴は価格の安さ。Semconは「スマートエンジン」の製造コストを100ユーロ程度にしたいと述べています。これはあくまでコストで販売価格ではないのですが、でも、それでも従来のコンバージョンキットよりも、遥かに安い価格での提供になると見込まれています。たとえば、この手のコンバージョンキットの草分けである「Rubbee」の販売価格は690ユーロ。「スマートエンジン」の価格は、この半分以下に設定されると考えられます。

参考画像:2013年に発表された「Rubbee」
参考画像:2013年に発表された「Rubbee」
当時は画期的だったが、いまとなっては大きすぎ?

以上が「スマートエンジン」の主な特徴。「スマートエンジン」はこれらの特徴により、従来は自転車マニア向けのちょっとスペシャルなツールだったコンバージョンキットを、一般ユーザー向けの耐久消費財へと変えてしまうかもしれません。

SemconのテクニカルディレクターであるAnders Sundinさんは、「スマートエンジン」を開発する理由を次のように述べています。

「サイクリストからの要求と願いが、我々を動かした。電動化された自転車にメリットがあることは明白だが、これまでの商品は高価でしかも扱いが面倒なものだった。それで私たちは、あらゆる自転車に簡単に取り付けられ、友だちや家族の間で簡単に共有できるスマートエンジンを開発した」

「スマートエンジン」はすべての自転車に装着可能
「スマートエンジン」はほとんどの自転車に装着可能
ただし、泥よけの付いていないもの限定

このコンセプトを実現するために、モーターの出力は150ワットと控えめにされ、小型・軽量化に重点がおかれたのだとか。バッテリーサイズも小さめとなっていますが、バッテリーの使用時間を最大化するために、モーターによるアシストは時速7キロから25キロの間でのみ動作する設定になっているそうです。

「スマートエンジン」の出力
出力150ワットで、重さは1,091グラム
パワーも重さも控えめ

Semconは現在、「スマートエンジン」の市販化に関心を持つ投資家を求めています。

もし、日本でも市販化されたら?と想像すると、少し楽しくなります。例えば、自転車で遠出をして疲れてしまった帰り道。ホームセンターで「スマートエンジン」を買ってその場で取り付けて、モーターのアシストを受けながら楽に帰る、なんていう選択肢もありになります。

日本でコンバージョンキットを販売するには、法整備が必要となります。これまでコンバージョンキットはスタートアップ企業などが製造・販売していたため、そのような対応は困難でした。でもSemconを含む、グローバル企業が参入するようになれば、そのあたりも変わってくるかもしれません。

「スマートエンジン」装着車例
日本は雨が多いため、多くの自転車に泥よけが付いています
これも「スマートエンジン」普及にはマイナスかもしれません