1879年の自転車「Coventry Rotary Tricycle」がオークションに

3輪自転車「Coventry Rotary Tricycle」が、英国の老舗のオークションハウスBonhamsでのオークションに出品される。英国企業Tangent and Coventry Tricycleによって1879年頃に製造されたとされるもの。

「Coventry Rotary Tricycle」は、1880年頃に流行した“左右非対称”な形状の3輪自転車のひとつで、大きな前輪を持つ「Penny Farthing(ペニーファージング)」が苦手という人に人気があった。例えばロングドレスを着ており、高い位置にあるペニーファージングのサドルにまたがることができない女性などが利用したという。また、荷物を載せられるというメリットも持っていた。


ペニーファージング
参考画像:大きな前輪を持つ「ペニーファージング」
スピードが出せるが、操作は難しい

Coventry Rotary Tricycle再生版
参考画像:女性にも乗り易かった“左右非対称”な形状の3輪自転車の例
(画像は今回のオークションに出品されるものではありません)

搭乗者の左側には大きなホイールが、右側には小さな2つのホイールが取り付けられている。搭乗者がペダルを漕げば、その力はチェーンによって左の大きなホイールに伝えられ、自転車が前進する仕組みだ。

Coventry Rotary Tricycle
参考画像:搭乗者の左側には大きなホイールが、
右側には小さな2つのホイールが取り付けられている
(画像は今回のオークションに出品されるものではありません)

ハンドルはなく、代わりに2本のレバーで操作をする。左側のレバーはブレーキで、左側の大きなホイールの回転を止める。右側のレバーは右側のホイール(前後輪とも)の向きを操作して、自転車の進行方向を変えることが可能だ。

搭乗者の左側には大きなホイールが、右側には小さな2つのホイールが取り付けられている。搭
ハンドル操作は、かなりクイックなものになりそう?

Bonhamsは今回出品される「Coventry Rotary Tricycle」の詳細を公開している。それによれば、左側の大型ホイールのサイズは46インチで、右側の小径ホイールはどちらも21インチ。サドルとその後ろに取り付けられたポーチは革製だという。また、パーツの一部はオリジナルではなく、現代の部品に交換されているそうだ。

オークションは英国夏時間の9月3日11時から。落札価格は83万円から110万円と見られている。

さて「Coventry Rotary Tricycle」は、できれば一度は乗ってみて、その動きや操作感、乗り心地を試してみたいと思える興味深い構造の自転車だ。見るからに重そうではあるが、現代の電動アシスト技術を導入して快適に走行できるようにすれば、このデザインはそこそこ受け入れられるのではないだろうか?

ただし、雨の日の走行には向いていない。左の巨大なホイールによる泥はねで、全身泥だらけになりそうだ。