カタゾウムシをかたどった自在置物の写真
螺鈿を使った特殊な「自在置物」(出典:満田晴穂氏)

生きているかのように美しい、昆虫のかたちをした工芸品が、インターネット上で話題となっている。日本の伝統工芸である「自在置物(じざいおきもの)」と「螺鈿(らでん)」を組み合わせたという。

ゾウムシ科に属し、体の硬さと模様の美しさで知られる「カタゾウムシ」をかたどった自在置物の一種で、満田晴穂氏が手掛け、Twitterで写真を公開し、注目を浴びた。



満田氏のWebサイトによると、自在置物とは江戸末期から明治にかけて甲冑職人が作った工芸品。カニ、エビ、昆虫、魚、鳥などを関節も含めて再現しており、読んで字の如く自在に動かせるそう。

Googleも注目し、さまざまな芸術を紹介する「文化研究所」で特集を組んでいる。

満田氏によると、自在置物は古来から金属製だが、写真のカタゾウムシは輪島塗の漆作家とのコラボレーションで作った特殊なものだそう。

表面できらめいているのは螺鈿。貝殻の内側にある虹色の部分を切り出し、木などの表面に貼り付けたり埋め込んだりして、美しい模様や絵を描き、漆で固定する手法を、金属製の自在置物に用いている。

伝統の技を組み合わせて新たに生まれたカタゾウムシ。見ているうちに、本当に命を持って動きだしそうだ。