ごく薄い電気ヒーターを内蔵したパーカー「HEATER PARKER」を、セメダインが開発した。ぬるだけで電子回路を作成できる接着剤「SX-ECA」を利用する。
ぬるだけで電子回路になる接着剤
SX-ECAは、電気を通す「導電性」を備え、さまざまな材料の表面にぬるだけで電子回路を形成できる液状の素材だ。布地や紙の表面にインクのように「印刷」することも可能。
セメダインは2016年にこの接着剤を布地にぬり、光り輝くLEDを装飾として組み込んだ美しい衣装を作り、注目の的になった。
ただ、これは手作業で仕上げた一点ものとあって、実用性の面ではまだ課題があった。
プラスチックに「印刷」し貼り付け
今回のパーカーは、以前に比べ手作業に頼らない方式で作ったそう。まずプラスチックの一種であるTPU(熱可塑性ポリウレタン)製シートにSX-ECAでヒーターの回路を印刷、低温のまま硬化させてから、それをシートごと布地に貼り付け、アイロンで熱融着させた。
衣装製作/アートディレクターはO l g a (Etw.Vonneguet)、ヒーターの回路設計はAgICが担当しているそう。
ちなみに完成したパーカーはUSBポートを備え、スマートフォンなどの充電に使える5Vの市販モバイルバッテリーとつないで動作する。技術的にはパーカーそのものに電源を組み込むことも可能だ。
なお、パーカーは商品ではなく、あくまでSX-ECAの使い方の一例として作った見本。セメダインはこれを1月18日~20日に東京ビッグサイトで開催されるイベント「第3回 ウェアラブルEXPO(第46回 ネプコンジャパン 2017)」に出展する予定だ。