電動アシストに見えない電動アシスト自転車「Volta」

「Volta」は、電動アシスト自転車に見えない電動アシスト。米国ロサンゼルスに本拠を置くPure Cyclesが開発している。

電動アシストに見えない電動アシスト自転車「Volta」
電動アシスト自転車に見えない電動アシスト「Volta」

「Volta」が電動アシスト自転車に見えない秘密は2つ。1つ目の秘密はバッテリーの取り付け場所にある。通常、電動アシスト自転車では、シートチューブ周辺にバッテリーが装着されているため、すぐにそれとわかるケースが多い。だが「Volta」ではバッテリーはトップチューブに内蔵されており、その外観からは電動アシストとはわからないようになっている。


電動アシストに見えない電動アシスト自転車「Volta」
バッテリーはトップチューブに内蔵

2つ目の秘密はモーター。後輪ハブ内蔵タイプを採用したことで、電動アシスト自転車とわかりにくくなっている。数年前はリアハブモーターもかなり大きく、デザインも無骨で目立つものが多かったが、現在は小型・軽量化が進んだだけでなく、デザインもホイール内に自然に溶け込むものが増えている。

電動アシストに見えない電動アシスト自転車「Volta」
ハブモーター登場時と比べると、直径は半分程度になった

モーターによるアシストモードとしては、アシストパワーを最大化する「Power」、航続可能距離を約64キロにする「Eco」、パワーとバッテリー持続時間をバランスさせる「Smart」、そしてまったくアシストしない「Bike」の4つが用意された。

電動アシストに見えない電動アシスト自転車「Volta」
坂道は「Power」で!

モーターにパワーを供給するバッテリーにはパナソニック製のセルが採用されている。充電に必要な時間は2時間。通勤で使う場合、オフィスで働いている間に充電可能だ。また、坂道を下っている場合などには、モーターは回生ブレーキとして機能。ホイールの回転で発電し、バッテリーを充電する。

電動アシストに見えない電動アシスト自転車「Volta」
ハブモーターには、回生ブレーキを組み込んだものが多い

AC電源からバッテリーを充電する場合は、ヘッドチューブにあるコネクタにケーブルを接続する。自転車をアパートの部屋やオフィス内に持ち込むことを前提とした設計だ。

電動アシストに見えない電動アシスト自転車「Volta」
米国などでは、外に置いておくと、盗まれてしまうので…。

「Volta」は都市部での通勤利用など向けに設計された自転車。自宅の部屋に収納したり、アパートの狭い階段を担いで持ち運んだり、オフィスのデスク脇に置いたり、といった使い方を想定し、全体的なサイズは小さめとされた。車体の重さは約16キロとなっている。

電動アシストに見えない電動アシスト自転車「Volta」
自転車を担いで

電動アシストに見えない電動アシスト自転車「Volta」
アパートの狭い階段をのぼれるサイズ設計

通勤では、夜遅く街を走らざるを得ないことも。そんなケースに備え、「Volta」には暗くなると自動的に点灯するヘッド&リアライトや、ブレーキライトも装備されている。

電動アシストに見えない電動アシスト自転車「Volta」
暗くなると自動点灯するライトを装備

その他、通勤カバンなどを置くためのバスケットも取り付けられた。

電動アシストに見えない電動アシスト自転車「Volta」
買い物にも便利

ドライブトレインは2種類用意。1つはシングルスピードのベルトドライブ。坂道を走ることの多い通勤用自転車なのに、シングルスピードなの?…と思ってしまうが、登坂時にはモーターによるアシストが使えるので、変速機なしでも大丈夫だという。ベルトドライブはノイズの少ない静かな走りを通勤者に提供。メンテナンスフリーなのも、忙しい通勤者にはうれしい。

電動アシストに見えない電動アシスト自転車「Volta」
メンテナンスフリーで静かなベルトドライブ

電動アシストに見えない電動アシスト自転車「Volta」
シングルスピードでも、坂をのぼれる?

もうひとつは8段変速機とチェーンの組み合わせ。よりトラディショナルな走行フィーリングを提供する。

電動アシストに見えない電動アシスト自転車「Volta」
こちらはトラディショナルなチェーン
バッテリーが切れたときには心強い

いまどきの電動アシスト自転車では当たり前になりつつあるが、「Volta」もスマートフォンと連携可能。その日の走行ルートやカロリー消費量などを表示可能だ。

電動アシストに見えない電動アシスト自転車「Volta」

Pure Cyclesは現在、「Volta」の市販化に向けてクラウドファンディングサイトkickstarterで出資者募集のキャンペーンを展開している。本稿執筆時点ではEarly Birdバージョンを1,399ドルの出資で入手可能だ。キャンペーン終了後の市販価格は2,499ドルとなる。出荷は2017年8月に予定されている。

電動アシストに見えない電動アシスト自転車「Volta」
電動アシストとしては、低めの価格設定

Pure Cyclesによれば、日本へも300ドルの送料で配送してくれるとのこと。残念ながら「Volta」は時速32キロまでアシストしてしまうので、日本では電動アシスト自転車として公道を走行できない。だが、日本仕様に変更し、型式認定を取得するのはそれほど大変ではないはず。どこかの代理店さんが、輸入販売してくれないだろうか?