元祖“電動アシスト自転車に見えない電動アシスト”、Stomerの「ST1 X」

“電動アシスト自転車に見えない電動アシスト”の元祖ともいえるStomerから、新型車「ST1 X」が登場した。従来モデルよりも価格が低く抑えられている。

元祖“電動アシスト自転車に見えない電動アシスト”、Stomerの「ST1 X」
Stomerの電動アシスト自転車「ST1 X」

Stomerは、電動アシスト自転車「ST1」「ST2」「ST2 S」で脚光を浴びたスイスの自転車メーカー。後輪ハブモーターとダウンチューブに隠されたバッテリーにより、電動アシストには見えないルックスを実現し、以降発売される電動アシスト自転車のスタンダードのひとつとなった。


元祖“電動アシスト自転車に見えない電動アシスト”、Stomerの「ST1 X」
電動アシストに見えない秘密その1:後輪ハブモーター

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電動アシストに見えない秘密その2:ダウンチューブに組み込まれたバッテリー

他の電動アシストメーカーには、Stomerの製品を意識しているところが多い。例えば米国シアトルのZeitgeistは同社の電動アシスト「Zeitgeist X」発表時、Stomerとの仕様比較表を公表した。ちなみに「Zeitgeist X」は後輪ハブモーターとダウンチューブに組み込まれたバッテリーなどST2 Sを意識したスペックを持ち、さらに価格が安いというアドバンテージを持っている。

元祖“電動アシスト自転車に見えない電動アシスト”、Stomerの「ST1 X」
参考画像:米国シアトルのZeitgeistによる電動アシスト「Zeitgeist X」

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Zeitgeistが公表した電動アシスト仕様比較表
Stomer「ST2」が一番左におかれ、強く意識していることがわかる

今回Stomerが発表した「ST1 X」は、このようなライバルたちに対抗する目的で開発されたと推測される新製品。ComfortモデルとSportモデルが用意され、その価格は同社の最上位モデル「ST2 S」の約半額に設定された。

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ステップスルーフレーム風フレームの「Comfort」

価格が安くなったとはいえ、走行性能に妥協はない。1回の充電で走行できる距離はモデルによっても走行モードによっても異なるが40~150キロ。回生ブレーキも装備され、航続可能距離を延ばすのに貢献している。最高速度は欧州仕様車では25キロ、米国仕様車では45キロに設定された。

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Zeitgeistの電動アシスト自転車が美しいのは、無骨なバッテリーやモーターが外からは見えないのが最大の理由なのは間違いない。だがそれだけではなく、例えば、ケーブル類が極力表に出ないように工夫されており、これもすっきりとしたルックスの実現に貢献している。

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ブレーキや変速機ケーブルは、フレーム内に隠されている

「ST1 X」をコントロールするタッチスクリーンは、トップチューブに設置された。この選択も、ハンドルバー上をすっきりさせるための工夫の一つだ。タッチスクリーンには走行速度や走行モード、バッテリー残量が表示される。また、自転車のロック/アンロックなどの操作も可能だ。

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「ST1 X」をコントロールするタッチスクリーン

カラーバリエーションは、オレンジ、チャコール、ホワイトの3色展開。価格は4,999ドルから。

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では、「ST1 X」は日本では発売されるだろうか。Stomerの新規ビジネス開発部リーダーであるLiam O‘Brienさんは、インターネットコムの取材に対し、次のように回答した。

「もちろん、私たちは日本での販売に関心を持っているし、計画もある。現在は、日本市場での非常に特殊な要件を満たすために努力しているところだ。日本市場への参入では、モーターの出力要件や、速度に合わせたアシストのコントロールなどが、キーとなる障壁となっている」

その他、ST1 Xに搭載された盗難防止機能が、すでに日本では使用されていない第2世代移動通信システム (2G) 規格を利用している点も、日本市場参入上の障壁となっているようだ。

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米国で電動アシストを開発するスタートアップの中には、この障壁の前に参入をあきらめてしまったところもある。Stomerには、スイスの高い技術力でこの障壁を超え、日本での販売を実現して欲しい。

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