太平洋上で成長する火山島「西之島」が再び噴火した。日本の領土がまたちょっぴり広くなるのではないか、などとインターネット上で話題になっている。神秘に満ちた島の成長の記録を、海上保安庁の「海域火山データベース」で振り返ろう。
西之島は、東京都小笠原村の父島から西方約130kmの距離にあり、わずかな植物が生えている無人島。
1973年にはもともとあった島のそばに新島が生まれ、多くの注目を集めた。その後、新島はもともとあった島とひとつになり、噴火は落ち着いたようだった。しかし40年が過ぎた2013年になって、再び別の場所に新島が生まれ、以前を上回る規模で拡大し始めたのだ。
日本中の研究者や専門家が興味を持ち、大学から官公庁までさまざまな組織が特設サイトを立ち上げるなどして変化を克明に追ってきたが、特に初期から調査を続ける海上保安庁の海域火山データベースは充実している。
その膨大な記録を見てみると、新島ははじめ細長い卵型だったが、わずか数か月のあいだに四方八方に広がり、以前の島を飲みこんでひとつになった。さらには突き出た山体と火口を持つまでになった。もはやまったく別の島のようだ。
あるいは赤外線で撮影した動画を見ると、火口から次々に火山弾が飛び出し、溶岩が灼熱の流れとなって海に入っていったさまも分かる。地球の内部に眠る恐るべきエネルギーが大地の形を刻々と作り直していくようすは、目を見張るものがある。
最近、西之島の活動が沈静化してゆき、データベースの更新頻度も低下していたが、今後もし島がまた成長するのであれば、新たに驚くべき写真や動画が加わるかもしれない。期待したいところだ。