CAESシステムのイメージ

21世紀の今日、太陽光や風力といった再生エネルギーは急拡大しており、重要な電源になりつつあるが、発電量にむらがあり、余分にできた電気をどうためておくかが課題だ。揚水にはじめリチウムイオン電池、水素燃料など色々な方法が研究中だが、「空気」を使おうという試みもある。

名付けて「圧縮空気エネルギー貯蔵(Compressed Air Energy Storage:CAES)」システムだ。


国の機関である新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と早稲田大学、エネルギー総合工学研究所、神戸製鋼所が共同で取り組んでいる。

風力発電で作った電気を使って、圧縮機で空気を高圧にして貯蔵する。あとで電気が必要になると、圧縮空気で膨張器(発電機)を回転させる、という単純な原理だ。

CAESシステムのイメージ

静岡県賀茂郡河津町に完成させた施設で4月下旬から実証実験を始めている。

この施設はオイルフリー式スクリュータイプの圧縮機と膨張器を採用し、もっぱら汎用機器で構成することで信頼性を高めた。希少金属や有害物質を使わず、空気と水しか排出しないなど環境負荷を抑えている。圧縮の際に発生する熱も貯蔵し、放電時に再利用する。

CAESシステムのイメージ

東京電力ホールディングスの東伊豆風力発電所と接続させ、電力の変動を緩和させる。天候によって出力が大きく変動する不安定な風力発電を安定利用できるようになると見込む。