貧テックという造語が流行中

「貧テック」という造語が流行中だ。ITを駆使した新たな金融の取り組み「フィンテック(FinTech)」のもじりで、最近では簡単に現金が入手できるアプリケーションを指すことが多いようだ。

フィンテックは海外発の造語で、従来の銀行に比べスマートフォンなどから便利に使えて手数料のかからないネオバンクや、個人間で簡単に融資ができるソーシャルレンディングなどをはじめ、さまざまな試みをまとめて指す言葉だ。


一方の貧テックは日本で広まった言葉。大きく注目を浴びたのは2016年に「THE BRIDGE」というニュースサイトが掲載した記事「フィンテックは”貧テック”?ーー日本において金融とテクノロジーが存在感を増すために必要なこと」のようだ。

くだんの記事では貧テックをフィンテックの別称と説明していた。米国でフィンテックが流行している背景の1つとして、1980~1990年代生まれの「ミレニアル世代」で、学費の負担などから借金を抱えた社会人が支出を切り詰めるなどの目的で活用していることがあるという。そのため関係者はフィンテックを貧テックなどと呼ぶこともあるのだとか。

しかし2017年に入って、日本のSNS上などでは貧テックという言葉をもっと異なる意味で使うようになりつつある。

このごろ、貧テックとの扱いを受けるのは、例えば一部のフリ―マーケットアプリケーション(フリマアプリ)。誰かが現金を商品として出品し、別の誰かがクレジットカードで購入することで、いわゆる「ショッピング枠の現金化」の恐れがあると話題になったからだろうか。

ほかにも最近登場した、身の回りにある品物を査定してもらい、現金化できるアプリ、あるいは今後の登場を予定している、給与額などを入力すると一定額の現金を受け取れ、次回の給与の振り込み後に返金するアプリなども貧テックと呼ぶ風潮がある。

必ずしも従来のフィンテックの範疇に入らない内容であっても、簡単に現金が入手できるといった特徴があると、貧テックという言葉のイメージに結びつきやすいようだ。