Nyafoo!のイメージ画像

「まとめサイト」などを除外して検索できる「Nyafoo!」が話題になっている。信頼性に疑問のある情報源ぬきで調べものをしたいという人が多いためだろうか。

Nyafoo! は、誰でも開発に参加でき、無料で利用できるオープンソースの検索技術「Elasticsearch」を導入しており、すでに45万件の項目を登録しているそう。検索最大手のGoogleに比べればささやかだが、今後さらに情報が増えていけば次第に実用性が高まるかもしれない。

特筆すべきは「まとめ」「Q&A」「ブックマーク」といった、一般人が作成できる情報を対象外にしている点。代わりに「新聞」「辞書」「IT関連メディア」「オンラインメディア」など職業的、専門的な媒体が手掛けた情報を重視しているようすだ。

7月初旬に人気ニュースサイト「ねとらぼ」が「こういうのを待っていた!」と大々的に紹介したことでアクセスが急増。注目の的になった。

もっとも、実は似たような試みは以前から幾つもある。例えば2016年には、Webデザイン関連の話題を取り上げるブログ「WWW Watch」がGoogleの「カスタム検索」機能を利用して、まとめサイトなどを除外した結果を表示する「クリーンサーチ」を公開してちょっとした話題を呼んだ。

Elasticsearchにせよ、Googleのカスタム検索にせよ、あるいはWebブラウザー「Chrome」の拡張機能である「Personal Blocklist」を使うにせよ、それぞれの好みに合わせて検索エンジンを編集するのはひとつの流れになっている。

背景にはGoogleなどの検索結果が、個々人の需要に一致していない状況があるのだろう。

とはいえGoogle自体も検索結果を年齢、性別、住んでいる地域、趣味、嗜好(しこう)などに合わせて変える「パーソナライズド検索」の技術を昔から研究している。今後、機械学習などの人工知能(AI)向け技術を応用すれば、さらに邪魔な情報を効率よく排除できるようになり、現状のように個人が自分で調整する手間は省けるかもしれない。

ただ、検索結果を好みに合わせて調整する動きが進歩していくにつれ、「フィルターバブル(Filter Bubble)」の懸念が生じる。個人あるいは特定の社会層、集団が見たい情報だけを取捨選択するうち、文化的、思想的に孤立するという仮説だ。検索エンジン改革の行く先がどうなるのかは興味深いところ。