空で光る稲妻のイメージ

インターネット上で「雷しゃがみ」という言葉が話題だ。逃げ隠れできない野外で落雷に遭った際、身を守るための緊急対応として広まっている。

雷がすぐそばまで来ているのに、その場にしゃがむのは勇気がいるし、本当に意味があるのか疑わしく感じるかもしれない。しかし実際、日本山岳会は公式サイトの「登山気象・防災情報」のなかで「山で雷にあったら」というガイドを公開して、この方法を紹介している。


まず野外で雷から身を守るには、気象庁などが出す雷予報・注意報などの確認が第一。しかしひんぱんに変更となり、移動中に最新の情報を把握するのは難しい場合もある。また外れたり遅れたりする恐れもある。

いつのまにか厚い雲で空が暗くなったり、大きな積乱雲(入道雲)が成長するのを見かけた際は逃げ遅れた可能性が高い。雷鳴が聞えたら、もう危険域に入っている。

安全なのは鉄筋コンクリートの建物の中で、壁から2m以上離れるのが理想。テレビからも2m、電源につながる家電などからも1m以上は離れる。スマートフォンなどの電池で動く機器はそのまま使っていても大丈夫。

町中ならすぐ逃げ込めそうだが、野外でそういう場所があるとは限らない。高さ5m未満の樹木や岩のそばへの避難は自殺行為。高さ5~30mの木や鉄塔のまわりでは「保護範囲」という比較的安全な場所があるが、根本から4m以上離れ、かつてっぺんを見上げたときの角度が45度以上という条件がついている。

適当な逃げ場がないときの緊急対応が「雷しゃがみ」。両足の間隔を狭くしてかがみ、指で両耳をふさぐ。足を広げていると、地面を伝わる誘導電流が体内を通って負傷する恐れがある。決して地面に手をついたり、寝そべったりしてはいけない。

雷しゃがみの姿勢
(出典:日本山岳会「山で雷にあったら」)

服装はそのままでよく、金属類を身につけていても雷を引き寄せる恐れは少ない。逆にゴム長靴やビニールレインコートを着ていても雷を遠ざける効果は期待しづらい。傘は絶対にささない方がよく、長いものは素材にかかわらず、体から離して寝かせておく。

落雷のあとも、すぐ次の落雷がある恐れがある。雷雲が消滅するまで危険は続く。

これらの方法は落雷からの回避を保証するものではないが、安全な避難場所を見つけられない際の手段として覚えておきたい。