クロマグロのイメージ

卵から育てた魚にまた卵を産ませる「完全養殖」。枯渇の恐れがある天然資源への負担を減らす技術がいよいよ本格化しつつある。水産会社の極洋は完全養殖したクロマグロの缶詰を発売する。

極洋と配合飼料メーカーのフィード・ワン、それに両社の合弁会社、極洋フィードワンマリンによる取り組みだ。


フィード・ワンは1986年からクロマグロを育てる技術を研究開発してきたが、このほどクロマグロが本来持つ色目、身質、風味にこだわった高品質な完全養殖が可能になったとしている。

四国西南部・宇和海エリアで養殖している。くだんの海域は黒潮の分流が入るため、年間水温は15~28度と温かく、もともと夏はクロマグロの幼魚である天然のヨコワが泳いでいる。孵化から出荷までのすべてをう宇和海エリアで完結し一貫生産することで、移動ロスを減らし生産性を高めた。

クロマグロの完全養殖

成魚になった完全養殖のクロマグロは、極洋がスーパーや外食産業向け展開してきた「本鮪の極」ブランドの新商品である缶詰「本鮪の極 つなぐ<TUNAGU>」として販売する。

本鮪の極は従来、天然のクロマグロを確保してから生簀に入れて育てる方式だったが、今後は完全養殖が選択肢として登場することになる。

ただし、極洋によると、完全養殖を「確立した」と言っても飼育技術、飼料ともにまだ改善点が多く残っている。そのため今後もフィード・ワンとの合弁会社などを通じ、仔稚魚用から育成用、親魚用飼料まで養殖生産と飼料開発を一体として行える環境を生かして改良を進める考え。