SNS時代のビデオカメラ「FrontRow」

街を歩いていると、「これはあの人に伝えたい!」と感じる光景に出くわすことがある。でもそんなとき、カバンからカメラや携帯を取り出そうとごそごそしていると、たいていは手遅れ。それにそのような場所では、カメラのレンズを向けてはいけない空気が漂っていることも。

そんなときに便利なのが「FrontRow」。米国ニューヨークに本拠を置くUbiquiti Labsが開発した。


SNS時代のビデオカメラ「FrontRow」
撮りたいシーンを逃さず撮れる
SNS時代のビデオカメラ「FrontRow」

SNS時代対応したビデオカメラで、画質よりも使いやすさにフォーカスした設計が特徴。かつてのビデオカメラのように「記録して、ずっと残しておきたい子供たちの発表会や運動会」向けのスペックではなく、日々のちょっとした驚きや発見を素早く確実に切り取り、友達とシェアし、その後は削除する、といった使い方にぴったりの仕様で開発されている。

SNS時代のビデオカメラ「FrontRow」
SNS時代のスペック

例えばメインカメラの画素数は8MPで、ディスプレイ側のインカメラは5MPと、画質にはそれほどこだわってはいない。だが使い方は本当に簡単。ネックレスタイプで常に首から下げておき、撮りたい!と思ったときには、裏面のタッチスクリーンの録画ボタンをタッチするだけですぐに録画を開始できる。

SNS時代のビデオカメラ「FrontRow」
赤い録画ボタンをタッチすれば、すぐに録画を開始

内蔵バッテリーはスタンバイ状態で50時間の使用が可能。撮影したい光景を目の前にしてバッテリー切れであきらめる、なんてことは少ないはず。録画状態では1時間50分から2時間の使用が可能。

SNS時代のビデオカメラ「FrontRow」
周囲の人にはわからないけど
これでも、動画を撮影中です

「FrontRow」には、Facebook、Twitter、YouTubeなどへのライブストリーミング機能も搭載されているが、この場合でも1時間45分から55分の使用が可能だとされている。

SNS時代のビデオカメラ「FrontRow」
Facebook、Twitter、YouTubeなどへのライブストリーミング機能も搭載

搭載されているOSはAndroidベースのもの。スマートフォンの操作に慣れている人であれば、取り扱いはすぐにマスターできるだろう。

SNS時代のビデオカメラ「FrontRow」
ベースOSはAndroid
ホームボタンもあります

価格は399ドル。現時点では米国のみでの販売。日本での販売開始についてUbiquiti Labsに問い合わせたが、本稿執筆時までに回答を得ることはできなかった。

SNS時代のビデオカメラ「FrontRow」

かつて、動画の撮影は家庭用8ミリなどを保有している、ちょっとリッチな人たちの趣味だった。その後家庭用のビデオカメラが普及して、子どもの運動会や学芸会などを誰でも録画できるようになった。だがどちらの場合でも、撮影した動画はテープやDVDなどに保存され、大事に扱われていた。

「FrontRow」で撮影された動画は、友達同士で一回だけ視聴した後は、「使い捨て」にされる。これまでは、「使い捨て」にされることを前提に設計されたカメラというのはあまりなかった。だが今後は同様のコンセプトのビデオカメラが販売され、そしてますます多くの動画が使い捨てされるようになるのだろう。「FrontRow」は価格がちょっと高すぎなので、もう少しこなれた価格の商品の登場を待ちたい。

SNS時代のビデオカメラ「FrontRow」
動画はSNSでシェアして、使い捨てられる時代に