前輪駆動の自転車「Bellcycle」

「Bellcycle」は前輪駆動の自転車。米国ニューヨーク在住のAlex Bellさんが開発した。軽量で、しかも価格の安い自転車を目指している。

前輪駆動の自転車「Bellcycle」
軽量で低価格の自転車を目指す「Bellcycle」

前輪にペダルが装着されており、これを漕いで前進するタイプの自転車。そう聞くと「ペニー・ファージング」のようだが、変速機が搭載されているので高速で走行できる。


ペニー・ファージング
参考画像:1880年ごろに流行した「ペニー・ファージング」
変速機がないため、前輪を大きくする必要があった

ハンドルはサドルの近くに装着された。この特殊な形状により、一見、乗りにくい自転車に見えるが、Bellさんによれば数時間練習すれば、快適に走行できるようになるという。ハンドルには前輪用のブレーキレバーも取り付けられている。

前輪駆動の自転車「Bellcycle」
ハンドルはサドルの近くに装着

前輪に舵の機能とドライブトレインの機能を集中させたため、後輪の自由度が通常の自転車よりも格段に高まった。自転車本体の軽さを重視して小さな車輪を装着することもできるし、リアキャリアを付けて買い物を運びたい人は、大きな車輪を装着してもよい。

前輪駆動の自転車「Bellcycle」
様々なタイプの後輪を取り付け可能に

腕に覚えがあれば、後輪をリアハブモーターが組み込まれたホイールに交換することだって可能だ。これにより、「Bellcycle」を電動アシスト自転車として利用可能となる。

前輪駆動の自転車「Bellcycle」
後輪をリアハブモーターホイールに交換すれば
電動アシスト自転車に

「Bellcycle」は、小さなダンボールに必要なパーツを詰めて発送する「自転車組み立てキット」の形態で販売される。この形態を採用することで、組み立て工賃を削減し、配送料を安くして、より安価に購入者に「Bellcycle」を届けられるそうだ。

前輪駆動の自転車「Bellcycle」
購入者に届けられるパーツイメージ

前輪のギア周辺は多くの歯車がむき出しで、決して美しいとはいえないもの。例えば同タイプの自転車「MC2 Bike」のように内装式のギアを採用して、すっきりとした見た目にするという道は選べなかったのだろうか?Bellさんによれば、これも価格を安くするための工夫だそう。内装式のギアは価格が高いので、「BellCycle」をBellさんの目指す価格にするには、外装式にせざるを得なかったそうだ。

前輪駆動の自転車「Bellcycle」
フロントホイール周辺
ちょっと、ごちゃごちゃしている?

さて「Bellcycle」の構造は、一般的な自転車のそれとはかけ離れたものになっている。Bellさんはこれが一般的な構造より良いと思っているのだろうか?その答えは「No」だ。

一般的な自転車の方が堅牢であるし、乗りやすいし、スピードもでる。だが「Bellcycle」の構造を取ることで、より自転車のサイズが小さくなり、価格が安くなり、そして自分好みのカスタマイズも楽になり、結果として自転車に乗る人が今よりも多くなるはず。これが、Bellさんの目指すところだそうだ。

前輪駆動の自転車「Bellcycle」
日本はいろいろ、ガッチガチだからなぁ…。

Bellさんは近く、クラウドファンディングサイトkickstarterで出資者募集のキャンペーンをスタートさせたいとの意向を持っている。スペックや価格は、キャンペーンで公開するとのこと。価格については、かなり安く提供できると思うと述べている。

さて、「BellCycle」は後ろ半分を切り捨てた自転車だが、ドイツでは前半分を切り捨て、後ろ半分だけにした自転車「Halbrad」が販売されている。

後ろ半分だけにした自転車「Halbrad」
参考画像:前半分を切り捨て、後ろ半分だけにした自転車「Halbrad」

これは「折り畳み自転車を折り畳むのが面倒」という人向けに考案されたもので、折り畳んだサイズのまま乗れるのが特徴。折り畳まずに電車に持ち込んだり、部屋に収納したりできる。価格は1,499ユーロから。

前半分を切り捨て、後ろ半分だけにした自転車「Halbrad」
電車への持ち込みが楽

この2つの自転車は、前半部にフォーカスしたか、後ろ半分かという大きな違いがある。だが、自転車に乗っている人の姿は似ている。また、2つの自転車の開発者の目指すところは、自転車に乗る人を少しでも増やし、自動車の使用機会を減らし、CO2排出量を削減すること。この点でも、両者は共通している。