蚊を通じて広がる感染症「デング熱」について、懸念とともに報道の過熱に疑問を呈する向きも見られる。しかしこうした報道を順に過去にさかのぼって分析すると、すでに1か月以上前から国内で感染が広がる予兆があらわれていたと気付かされる。ニュースアプリケーションの「カメリオ」が面白い試みを行っている。

 デング熱、7月からすでに予兆--ニュースアプリ「カメリオ」が過去の報道を分析し指摘
カメリオの「タイムマシン」機能

カメリオは、ニュースアプリとしては中堅どころ。ユーザー数では「SmartNews」や「Gunosy」の後塵をはるかに拝し、ソーシャルメディアで奇妙な脚光を浴びた一件を除けば、さほど目立たないサービスだ。

しかし、今回は注目に値する試みをしている。特定の話題について過去の報道をさかのぼる機能「タイムマシン」を使って、デング熱に関する報道を掘り起し、日本での感染につながった動きを読み解こうとしている。

カメリオの公式ブログでは、タイムマシン機能の利用例を、スクリーンショットを交えて説明している。

見ていくと色々なことが分かる。7月末には朝日新聞が「成田便、やっかいな蚊も便乗?感染者増えるデング熱」という見出しで、国際線からのデング熱感染の懸念を報じていた。さらに8月にはフジテレビジョン系のニュースネットワークである FNN が「デング熱を媒介する蚊、都内で調査開始以来、最も多く確認」と感染の兆しを伝えている。

■興味深いニュースの掘り下げ--でも、とっぴな結論に気を付けて

ちなみにカメリオではもう一歩踏み込み、6〜7月にW杯が行われたブラジルで、同時期にデング熱が流行していたことも取り上げている。とはいえ、さすがに現時点でこれを日本での感染と結び付けるのは、やや先走った推測だろう。公式ブログでも「今回の流行の原因を求めるのはやや性急」と一応断っている。

アプリを使ったニュースの掘り下げ、分析は面白いが、専門家でない我々は、ついとっぴな結論に飛びついてしまいかねない危うさもある、という証拠だ。

しかし裏を返せば、カメリオのようなニュースアプリが今後もし、信頼できる専門家の協力を得れば、さまざまな時事問題について、有意義な解説ができる可能性も示している。