米国 Apple の新型スマートフォン「iPhone 6/6 Plus」が日本でも正式発表になった。事前に色々とうわさが出ては消えた機種だったが、答え合わせをしてみよう。

iPhone 6、「サファイアガラス」「防水」は不採用--「NFC」「TD-LTE」「CA」「VoLTE」対応
左から、iPhone 6 Plus、iPhone 6、iPhone 5s、iPhone 5c (出典:Apple

■外れたうわさ「サファイアガラス」「防水」

サファイアガラスは、宝石のサファイアとほぼ同じ組成で、硬度も匹敵する。腕時計の文字盤ガラスなどでよく使われてきたが、今後はスマートフォンのディスプレイを保護する素材として普及が進むと見られ、実際に京セラが8月に発表した強靭(きょうじん)な4.5型 Android 端末「Brigadier」が搭載した。

iPhone 6 での採用も一時期有力視されていたが、後になってコストや重さ、大画面にした場合の割れやすさといったサファイアガラスの現状の欠点を指摘する分析も出たほか、 Apple が十分な分量が確保できず見送りになるとの情報もあり、結局不採用になった。

同じくうわさのあった防水対応も、iPhone 6 では不採用。こちらも情報が出回りた始めたころはかなり有力視されたが、その後トーンダウンした。日本製のハイエンド Android スマートフォンでは当たり前のようになりつつある防水性能だが、海外の需要はまださほどでないかもしれない。世界市場で Apple と競う韓国サムスン電子も主力ブランドで防水に対応したのはこの2月に発表した「GALAXY S5」からだ。

■当たったうわさ「2サイズ」「NFC」「TD-LTE」「CA」「VoLTE」


4.7型と5.5型の2サイズになるといううわさは正確に当たった。ハイエンド Android スマートフォンで進む大画面化とバッテリー大容量化の流れを iPhone も追う形だ。

NFC 対応も大方の予想通り。以前は近距離無線通信規格 Bluetooth Low Energy を使った「iBeacon」を推す Apple は NFC 採用に消極的との声もあったが、最近は徐々に採用を確実と見る意見が増えていた。ただし日本で NFC を使った iPhone 6 の決済サービス「Apple Pay」が利用できるかどうかははっきりしない。もしできたとしても、「FeliCa」規格を採用したおサイフケータイと同様の使い勝手が得られるかどうかは不明。

新しい通信技術への対応という面では、iPhone 6 はいずれもうわさに違わず着実に対応している。中国で伸びが見込める高速通信規格「TD-LTE」、複数の周波数帯を同時に使って安定した通信を行う「CA」、LTE 回線を通じた高品質 IP 電話「VoLTE」などだ。

TD-LTEは、ソフトバンクモバイルの「SoftBank 4G(AXGP)」および KDDI(au)の「WiMAX 2+」と互換性があり、両社はこの点で NTT ドコモに対して優位を打ち出せそうだ。なお、CA では au 、VoLTE ではドコモが先行しているが、後発の各社とも今後サービス展開を急ぐことになるだろう。