PC 向け Web ブラウザの世界市場では次第に Firefox に対する Chrome の優勢が目立ってきている。この傾向が続けばオープンソース陣営にとってはやや考慮すべき事態になるかもしれない。Net Applications の推計で明らかになった。

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「2位」を争うブラウザ同士、まだ PC 市場では拮抗しているが…

Net Applications の統計によると、6月の PC 向けブラウザ市場では米国 Microsoft の「Internet Explorer(IE)」が利用シェア 58.38% と相変わらずどっしりと1位に居座る一方、2位以下では変化が進んでいる。

Chrome は3月に17.26%の利用シェアを獲得したあと、じわじわと勢いを増し、6月時点では19.34%まで拡大した。他方、Firefox は3月に17.26%だったが6月は15.54%にまで低下した。

微妙な動きではあるが、Net Applications の推計では2014年に入るまで、Firefox が Chrome に利用シェアで競り負けはしなかった。

微妙に、だがじりじりと差が開いている
微妙に、だがじりじりと利用シェアの差が開いている(Net Applications の推計をもとに作成)

今や PC 向けブラウザの重要性はインターネットユーザーにとって大きく低下しているとはいえ、やはり無視できない趨勢だ。PC 向け Firefox、Chrome は、ともにスマートフォン向け OS「Firefox OS」、ノート PC「Chromebook」を下支えするブランドでもある。

さらに米国 Mozilla Foundation の Firefox が完全にオープンソースなプロジェクトであるのに対し、米国 Google のChrome はオープンソースの「Chromium」をもとにしていても、プロプライエタリな要素が加わっている。

■ Chrome のシェア拡大はモバイル市場でも

Net Applications の推計を見る限り、Chrome はモバイル向けブラウザ市場でも利用シェアを拡大している。

2013年12月には9.7%だったが、半年後の2014年6月には16.67%に拡大。ほぼ一本調子で伸びている。モバイル向けブラウザ市場では Firefox の存在感ははじめから無きに等しい。

Firefox がインターネット利用の主流であるモバイル市場で伸びていくためにも、まだ PC 向けブラウザのブランドを失墜させる訳にはいかない。

もちろん、Net Applications のような調査会社の推計を重視しすぎるのは危ういだろう。

例えば別の調査会社であるアイルランド StatCounter の推計では以前から Chrome が IE を抜き利用シェアトップだ。しかしこれをもって Chrome を世界市場の覇者と見なせはしない。

だが、Firefox ユーザーにとしては、不安を振り払うためにも、Mozilla をはじめとする開発者コミュニティのいっそうの奮起を望みたい。