Eich 氏は2008年、カリフォルニア州での同性婚を禁じた州憲法修正案「提案8号(Proposition 8)」の推進キャンペーンに1,000ドルの政治献金を行っていた。この修正案は2013年、米連邦最高裁が、適切な方法で上訴されたものではなかったという判断を下している。
この事実が報道された後、Mozilla 内部では Eich 氏に対する批判が巻き起こった。Mozilla の Mitchell Baker 氏はこの件につき、次のように述べている。
「我々は人々がなぜ傷つき、怒りを感じているのか理解している。その怒りは正当なものだ。 ≪中略≫ Brendan Eich 氏は、CEO 辞任を決めた。同氏は Mozilla と我々のコミュニティのために、この決断を下した」
Baker 氏は続ける。
「Mozilla は『平等』と『言論の自由』の両方が重要であると考える。平等は有意義な言論に欠かせないものだ。そして、平等を勝ち取るには、言論の自由が必要なのだ」
Eich 氏に対する批判が起きたのは、Mozilla とそのコミュニティからだけではない。報道後、複数のサイトや団体が Firefox 使用の中止を呼び掛ける活動をスタートさせた。
オンラインデーティングサイト OKCupid は3月31日、Mozilla Firefox を使って同サイトにアクセスした利用者に対し、「Hello there, Mozilla Firefox user.」で始まるメッセージを表示した。メッセージには、「Mozilla の新 CEO Brendan Eich 氏は、ゲイカップルの平等な権利に対する敵だ」と書かれていた。
OKCupid に表示されたメッセージ |
Cred Action では、Eich 氏の辞任を求めるオンライン署名活動が実施された。同活動は、10万人の署名獲得を目標としており、3月31日の時点ですでに6万3,000人の署名を獲得していた。現在では、この署名活動は取り下げられている。
Baker 氏は Blog 投稿を次のように締めくくっている。
「我々は、Web を守ることにフォーカスを戻す必要がある。そしてそれは、利用者が Mozilla を支持することに誇りを持てるやり方で行われなければならない」
Baker 氏は、後任の CEO についてはまだ決まっていないと述べた。だが、来週以降、より多くの情報を公開していくという。Mozilla は、次の CEO 選定に関しては、より“オープン”に実施するつもりのようだ。
「Mozilla の使命は常に、Web をよりオープンなものにしていくことだ。これにより、人間はより強く、あらゆるものを受け入れる、より公正な存在になれる。これがオープン Web を守っていくことの意味だ」
(この記事は4月3日付け英文記事の抄訳です)