ニンジャスレイヤー、それはTwitter上で連載する異色の小説だ
ニンジャスレイヤー、それはTwitter上で連載する異色の小説だ

Twitterが、1回にツイート(投稿)できる文字数について、140字という制限を廃止する。そんな話題が注目を集めた今週。多くの人が不安と疑問を抱いたはずだ。「ニンジャスレイヤーはどうなるのか」と。

ニンジャスレイヤー。2010年に登場し、今も続いているインターネット小説だ。Twitterで次々に短文を投稿していく異色の連載方式をとる。読者が小説の更新を楽しみながら同時に感想を実況できるところが人気を集め、出版社も注目。すでに書籍化、漫画化、アニメ化まで果たした。ハリウッド映画化などを予想するファンも少なくないはずだ。


作品は外国から見た未来の日本という設定で、超人的な力で社会を裏から支配するニンジャ(忍者)同士の抗争の巻き添えとなり、妻子を失った主人公が、復讐のためニンジャを殺す「ニンジャスレイヤー」になるという粗筋になっている。

一見すると荒唐無稽だが、横暴なニンジャが影響力を振るう巨大企業の下で、勝ち組と負け組に分かれ、過労死や失業の恐れとともに生きる人々の姿には、日本の今も重なって見える。

そんなニンジャスレイヤーだが、Twitterの140字制限がなくなり、例えば1万字まで投稿できるようになると、1回の更新が1つのツイートで済んでしまう。すると従来の連載が備えていたライブ感はどう変わってしまうのか。多くの読者が懸念を抱いたはずだ。

だが、ニンジャスレイヤーの公式ブログは「何も変わらない」と宣言。短文の連続投稿を続ける考えを示した。


幾つかの理由を挙げており、例えばTwitterは常に新しいツイートが古いツイートを押し流していくため、1日に1回だけ投稿すると、ほとんどの人が更新があったこと自体を見逃しかねないという。それに読者が小説を実況し、リアルタイムに楽しむ体験も大事にしたいようだ。

思えば、すでにTwitterの1つのツイートだけで小説や漫画をまとめて読める機能は存在する。KADOKAWAグループが2014年に試験公開した「ePUB Viewer for Twitter」などだ。


ニンジャスレイヤーはそうした技術を一部で活用しつつも、従来の連載方式を守り続けてきた。今回のTwitterの動きに対しても、同様の姿勢をとるのは自然かもしれない。

ファンにとってはまずは一安心だろうか。

だが、Twitterの仕様変更がこれで終わるとは思えない。

あたかも精鋭ニンジャ集団「ソウカイ・シックスゲイツ」からさまざまな刺客を繰り出すニンジャの首領「ラオモト・カン」めいて、また別の試みを始める可能性は高い。ニンジャスレイヤーの戦いはこれからも続くだろう。