人工知能(AI)技術を利用して、複数のカメラで不審者を特定あるいは追跡するシステムを、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)が開発した。2015年末から2016年初に綜合警備保障(ALSOK)とともに実験し、成功を収めた。

最近は猫もしゃくしもAIという雰囲気だが、NTT Comなどは警備の精度を高めるため、深層学習(ディープラーニング)をはじめとするこの分野の技術を採用した。Preferred Networksという企業が協力している。


実験ではまず、1つの映像から特定人物の特徴をAIが抽出し、複数の監視カメラの映像から同じ人物の候補を抜き出す機能を検証した。


ビル内である人物にエスカレーターを使って複数のフロアを移動させたところ、経路上にある各カメラの映像から、同じ人物の候補を100%の確率で抽出できた。

別途、不審な動きをする人物を高精度で識別する機能も検証している。「きょろきょろする」「荷物を置く」などの動きをAIに学習させておき、映像から同じような動作を検知する。


最近はオフィスビルや大規模イベント会場など不特定多数の人が集まる場所で、事故が起きた際の対処、被害拡大防止、そして犯罪の予兆検知、未然防止の需要が高まっている。また国際情勢によって、もともとあまり警備が厳重でない場所や人物など「ソフトターゲット」を狙ったテロリズムへの対策強化が求められている。NTT Comのシステムはこうした用途向けだ。