除去物の点検に用いるドローン
ドローンが除染から出た除去物を見守る

福島県の南相馬市では、除染によって発生する「除去物」を、ドローン(無人航空機)が守っている。除去物をおおったシートが傷んでいないかどうか、自動で飛びながら点検する。

飛行するドローンと青い作業服の人物たち
福島県南相馬市で活動する

ドローンによる点検を行っているのは、エアロセンス、竹中工務店、竹中土木、安藤ハザマ、千代田テクノルで構成される共同企業体。


福島県南相馬市では、除染によって生する除去物を、市内にある仮置場の各区画に格納し、通気性防水シートで覆っている。

だがシートは紫外線や気候によって経年劣化し、さらに野生動物による害獣被害などを受ける。サルやカラスがいたずらでシートを傷つける行為が無視できない課題になっている。したがって目視によるシートの定期点検が必要だったが、範囲が広く、点検個所が高い位置にあるため一定のリスクがあった。

対策として導入したのがドローン。シートでおおった1つの区画は約3,000平方メートルあり、最終的に約160区画が対象になる。これほどの規模でドローンが定期航行するのは実用レベルでは日本初、とエアロセンスは説明している。

人間が手動操縦するのではなく、飛行やカメラによる撮影、各種の検知もすべて自動化する。1区画につき30~40分で撮影を済ませ、「オルソ」と呼ぶ大きな1枚の写真地図を生成する。

仮置場のオルソ
作成したオルソの例。実際ははるかに高解像度

オルソをもとにシートの破損個所を迅速に特定する。リスクの低減に加え業務の効率化も図れるという。