オフィスのエアコン画像
オフィスの室温は26度か28度か…そもそもそういう問題なのか

オフィスの夏のエアコン設定温度は「28度」ではなく「26度」が最適だ、とする話題がインターネット上で注目の的だ。

室温26度だと生産性が高い?


ネットで盛り上がっている話題によると、国内メーカーの空調システムには最も効率よく動く「設計値」があり、それが26度。環境省などが推奨する28度に設定すると機械の生産性も人間の生産性も落ちるので、よくないという。

そこで実際に国内メーカー大手のダイキン工業に尋ねたところ、生産性にまつわるネットの話題は詳しく把握していないとし、さらにどのくらいの室温が快適かはある程度個人差があると断ったうえで、28度に設定しても適切に「湿度(しつど)」が下がれば十分な快適さは得られるのではないか、との回答だった。

さらに生産性はともかく、設定温度が26度と28度では消費電力は変わってくる。特に夏は外の気温が高くなるほど、差は大きくなる。ダイキン工業はこれらを踏まえ省エネルギーのための情報を紹介している。

26度と28度の比較
26度と28度。外気温が上がればどちらも電力消費は増加(出典:ダイキン工業)

26度にするか28度にするか、オフィスの電気代を気にする立場の人と、そうではない人で考えの分かれるところだろうか。

大半のオフィスは28度ではない


しかし、そもそも実際に室温を28度に設定しているオフィスはどれくらいあるだろうか。

三菱電機ビルテクノサービスが会社員1,000人を対象に行った調査によると、社内の冷房温度が決まっているという職場のうち、28度を設定しているのは3分の1以下(28.2%)だった。

オフィスの温度についての数値
28度にしているオフィスは3割弱(出典:三菱電機ビルテクノサービス)


東日本大震災後の電力不足を経て、省エネルギー意識が高まっているといっても、まだ必ずしも多数派という訳ではないようだ。

一方、26度は18.4%。27度は16.6%、25度が14%、24度が8.6%、23度以下が6.5%。実態としてはかなり低く設定しているところもある。

ちなみに60%の女性は、オフィスが「寒い」と感じており、男性でそう答える割合(36.2%)を上回っている。寒いという人の82.5%が冷房が体調不良に結びつくことがあると述べている。生産性以前の問題だ。

寒暖の意識についての調査
現状の設定室温で「寒い」と感じる女性は多い

オフィスの空調を変更できる人のうち夏場、こっそり設定温度を変更したことはあるという割合は男性で54.6%、女性で70.3%。男性は温度を下げがち、女性は上げがちらしい。

三菱電機ビルテクノサービスでは、ひんぱんな設定温度の上げ下げは、省エネルギーの観点からすすめられないとしている。設定温度にだけ注目するのではなく、扇風機やサーキュレーターなどを使い、室内に「気流」を作って温度のムラを解消するなどの工夫をしてみては、ともうながしている。