代筆してくれるロボット
受験の問題を代筆してくれるロボットが登場した

人工知能(AI)が解いた大学受験の問題を代筆するためのロボットアームが登場した。デンソーとデンソーウェーブが開発したものだ。

国立情報学研究所(NII)が中心となって取り組む「ロボットは東大に入れるか」という計画に参加するために開発した機器で、正式名称は「東ロボ手くん(とうろぼてくん)」


通称、東ロボくんと呼ばれるAIは、人間のようにさまざまな科目の試験を解いてゆける。2016年度はセンター試験模試は5教科8科目の合計で525点と全国平均の454.8点を大きく上回る成績を記録し、偏差値は57.1。私立大学の512大学1,343学部、国公立大学でも23大学30学部において合格可能性80%以上という。

だがAIはあくまでコンピューター上の存在であり、実際に解答用紙を埋めるには手が必要。東ロボ手くんはその役割を担う。デンソーウェーブ製の産業用垂直多関節ロボットアーム「VS-060」を2台用い、ボールペンでの筆記ができるよう開発した。

ロボットの説明図
デンソーウェーブ製の産業用ロボットアームを応用している

すでに代々木ゼミナールの「東大入試プレ」の地理歴史(世界史)の問題に挑み、AIが出した約580字の答案などをその場で実際に筆記することに成功している。さらに表面の記入が終わると手を挙げ、人間のアシスタントに用紙の裏返しを要請する機能があり、「人との意志の疎通を図れる」という。

JIS標準漢字約7,000字に対応し、漢字、かな、数字の書き分けができるほか、解答枠の大きさに応じて文字の大きさや字間の調整も行える。

ロボットによる筆記中のようす
筆記は正確無比

長時間の連続稼働が可能かつ、150分間の試験時間中に800~1,000字を一定の筆圧で連続して書ける。机上には目に見えない安全柵(エリアセンサー)を設置している。