大賞は「ほぼほぼ」…三省堂の選ぶ「今年の新語2016」

三省堂は、「三省堂 辞書を編む人が選ぶ『今年の新語2016』」を実施。2016年を代表する新語ベスト10を発表した。大賞には「ほぼほぼ」が選ばれている。

新語の選定にあたっては一般からの公募を実施。延べ2,834語(異なり1,182語)に及んだ投稿を対象に、辞書編纂のプロである選考委員が審査し、「今年の新語2016」ベスト10を選定した。


大賞は「ほぼほぼ」…三省堂の選ぶ「今年の新語2016」

「今年の新語2016」ベスト10は次の通り。ベスト10に選ばれた新語には、実際の編者が「国語辞典風味」の語釈(語の解釈・説明)をつけている。

◆大賞 ほぼほぼ
大賞には「ほぼほぼ」が選ばれた。選考委員の間でも「今年よく耳にした」という意見が多く、高い評点を集め、「大賞」となった。

三省堂によれば、日本の国会での全発言を記録した「国会会議録」には、すでに1949年に「ほぼほぼ」の例が現れているという。使用例はその後は少ないままだったが、90年頃から使用例が増え、2010年代に顕著になった。

「ほぼほぼ」はこのように長い時間をかけて日常会話のことばとして定着し、大賞にふさわしい経歴を持っているという。また、受賞のタイミングは今年しかないと判断された。

「ほぼ」を2回繰り返す形が嫌だ、と言う人も多いようだが、三省堂によれば古代から「いと」を強調して「いといと」と言うなど、日本語には繰り返しことばが多く、「ほぼほぼ」もその伝統に則っているという。ただ、広まって日の浅いことばなため、口頭語の感じが強いのは否めないそうだ。

「ほぼほぼ」に対し、三省堂の編者がつけた「国語辞典風味」の語釈は次の通り。

・ほぼ ほぼ [0]【《略略》・《粗粗》】(副) 問題となる事柄に関して、完璧だというわけにはいかないが、こまかい点を除けば、その人なりに全体にわたって妥当だと判断される様子。〔「ほぼ」の口頭語的な強調表現〕 「工事は━予定どおりに進んでいる/不正融資のからくりが━明るみに出された」
―『新明解国語辞典』風

・ほぼ ほぼ(副)〔俗〕「ほぼ」をくり返して、気持ちを強めた言い方。「定員が―埋(ウ)まった」〔二十世紀末から例が目立ち、二〇一〇年代に広まった〕
―『三省堂国語辞典』風

・ほぼほぼ〈副〉自分の見るところでは、かなり確実に、また、その程度までかなり近く。「締切までには―間に合うと思います・―八割がた完成です」[副詞「ほぼ」を繰り返したもの。「ほぼ」よりも話者自身の観点や期待がこもるぶん、話しているほうでは度合いを高めているつもりでも、受けとるほうからは不安に思われる場合もある]
―『三省堂現代新国語辞典』風

大賞は「ほぼほぼ」…三省堂の選ぶ「今年の新語2016」

◆2位 エモい
2位の「エモい」は、エモーショナル、つまり感情が高まった状態になっていることを表す形容詞。『現代用語の基礎知識』の2015年版には、〈「ヤバい」を越える感動や感激の気持ちを表す〉として掲載されているという。

一般での使用も、2010年代になって増えている。今年も「エモい曲」「冬はエモい」など、非常に多くの例が見られたそうだ。

「エモい」に対し、三省堂の編者がつけた「国語辞典風味」の語釈は次の通り。

エモ・い [2] (形)〔emotionを形容詞化したものか〕 〔音楽などで〕接する人の心に、強く訴えかける働きを備えている様子だ。「彼女の新曲は何度聴いても━ね」
―『新明解国語辞典』風

◆3位 ゲスい
「ゲスい」に対し、三省堂の編者がつけた「国語辞典風味」の語釈は次の通り。

げす・い[ゲスい](形)〔俗〕ゲスな感じだ。下品だ。やりかたが きたない。えげつない。「―下(シモ)ネタ・―質問」〔江戸時代からあり、二十一世紀に はいって特に多く使われる ことば〕
―『三省堂国語辞典』風

◆4位 レガシー
「レガシー」に対し、三省堂の編者がつけた「国語辞典風味」の語釈は次の通り。

レガシー〈名〉[legacy]あるイベントのためにつくった施設が、のちのちまで再利用できること。また、その施設。「五輪後の―になれるかを議論する」[英語本来の意味は、「遺産」「遺物」]
―『三省堂現代新国語辞典』風

5位以下の言葉の語釈については、三省堂Webサイトの特設ページ「今年の新語2016」を参照されたい。
◆5位 ヘイト
◆6位 スカーチョ
◆7位 VR
◆8位 食レポ
◆9位 エゴサ
◆10位 パリピ
◆選外 神ってる
   チャレンジ
   IoT
特設ページ「今年の新語2016」には、詳しい選考理由も掲載されている。