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千葉大の説明

薬が効かない「薬剤耐性菌」を、再び薬に弱くする手法を、千葉大学真菌医学研究センターが発見した。菌が持つ特定の遺伝子を作り変えることで、耐性を無効化できるという。

千葉大が対象としたのは「アスペルギルス・フミガタス」という真菌(カビ)の一種。重篤な肺感染症を引き起こす真菌で、治療が遅れると命に関わる場合もある。しかも従来有効だった治療薬(アゾール薬)に耐性を示す菌が欧州などで多く見つかり、問題になっている。日本でも2013年に同様の耐性菌が見つかり脅威となっているそう。


この耐性菌では、従来の治療薬が標的としてきたタンパク質が異常に高く発現するのが特徴。

そこで、くだんのタンパク質の発現にかかわる遺伝子を破壊した菌を作ったところ、もとの耐性菌に比べて従来の治療薬に対し8~64倍以上も感受性が増し、効果が高まったそう。

つまり該当する遺伝子の機能を阻害する薬剤さえ見つかれば、耐性菌に従来の治療薬が再び利用できるようになるという訳だ。

さらに農作物に甚大な被害を及ぼす植物病原菌にも、同様に農薬への耐性を示す菌が見つかっているが、似たような手法が使える可能性があるという。

千葉大では、こうした発見をもとに新たな薬剤の開発に取り組んでいるとか。なお今回の研究成果は英国の科学雑誌「Scientific Reports」に掲載している。