シャープの携帯電話
2000年に発売した「J-SH04」(出典:シャープのTwitter)

「写メ」という言葉は若い世代のあいだでは使わない、という話題がインターネット上で広まっている。語源ともされる携帯電話の「写メール」機能を最初に実現したシャープは、ちょっぴり落ち込んでいるようだ。

写メールはもともと、携帯電話会社のJ-PHONE(現ソフトバンク)が広めた言葉で、携帯電話のカメラで撮影した写真をメールに付けて送る機能だ。最初の対応機種は、2000年発売のシャープ製「J-SH04」。

今やスマートフォンでもフィーチャーフォン(ガラケー)でもカメラ付きの機種は当たり前だが、J-SH04が登場するまではほぼ存在しなかった。

J-SH04の搭載していたカメラの解像度はわずか11万画素。2017年時点のシャープの最新機種に比べれば100分の1以下だ。しかし大いに人気を博し、当時の若い世代は撮影した写真を送り合い、写メールという言葉はJ-PHONEの登録商標だったにもかかわらず、一般用語として広まった。

「写メ送る」
「写メるわ」
「写メちょうだい」

ある年齢より上の層ならなんとなく聞き覚えのある表現だ。

だが10数年を経て、もはや時代は変わった。人と人との写真をやりとりする手段はメールではなくLINE、Twitter、Facebook、Instagramなどのアプリケーションだ。メールそのものの存在感が低下すれば、写メという言葉も通じにくくなってくるのも自然だ。

シャープは写メールの元祖であるJ-SH04をふりかえるとともに、しょんぼりしたようすも見せている。もっともメールにとってかわったTwitterを完璧に使いこなしながら、そうした思い出を語るというのはちょっと面白い。



なお、J-SH04だが、2014年には国立科学博物館が、初のカメラ搭載機種として「未来技術遺産」に登録している。

シャープの登録証のようす
未来技術遺産としての登録証を受け取るようす

技術革新はいつか死語になるとしても、きちんと歴史に残る、というところだろうか。