
KDDI(au)は、空飛ぶ携帯電話基地局こと「ドローン基地局」を開発し、3月以降順次、全国10か所に配備する。災害発生時に通信困難になった地域で飛ばし、一時的に復旧させる。
auはもともとクルマ型の基地局や船型の基地局を持っており、災害時には陸と海からすばやく被災地に派遣する体制を整えている。しかしどちらもたどりつけない場所もある。そこで活躍するのが空を移動できるドローン型の基地局だ。

この基地局が頭上を舞っているあいだ、避難所などにいる人はスマートフォンやノートPCを使って誰かと連絡をとったり、情報収集をしたりできるようになる。またドローンは被災地のようすを上空から撮影し、遠方にリアルタイムで中継する機能もある。
Facebookも通信ドローン

空飛ぶ基地局といえば、Facebookの巨大ドローン「アクイラ」を思い出す。ボーイング737旅客機より長いカーボンファイバーでできた翼を備え、太陽光発電によって3か月のあいだ飛び続ける。
頭上を舞っているあいだ、機体を中心に直径96kmあまりの円状の範囲にいる人はスマートフォンなどが自由に使える。しかもアクイラは1機ではなく複数機が編隊を組んで飛び、互いに無線でつながりあってネットワークを作り上げ、より広い土地に通信環境をもたらすのだ。

米国らしい発想だが、実はauのドローン基地局も今後は同時に複数機を飛ばし、相互につながる、といった使い方を検討してはいるそう。
気球を使う取り組みも


やや毛色は異なるが、Googleやソフトバンクは気球を使った基地局・Wi-Fi中継装置を実験中だ。特にGoogle発の新技術部門、X社が開発している「ルーン」は成層圏に達して広い範囲に通信環境をもたらす面白い設備だ。
被災地や僻地(へきち)ではいずれ、空こそが新たな通信の要になるかもしれない。今後の進展に期待したいところ。