ほぼLPレコードサイズのレコードプレーヤー「Wheel」

「Wheel」は、ほぼLPレコードサイズのレコードプレーヤー。従来の製品に比べてわずかなスペースに置ける上、メンテナンスが楽というメリットを持っている。

ほぼLPレコードサイズのレコードプレーヤー「Wheel」登場
ほぼLPレコードサイズのレコードプレーヤー「Wheel」

“ほぼLPレコードサイズ”が実現できた秘密はその構造にある。従来の、“針を上から落とす”タイプのレコードプレーヤーでは、カートリッジを支えるトーンアームや針圧を調整するバランスウェイトなどが必要で、それを固定するアームベースを設置するスペースが要求された。


だが「Wheel」では、“針がレコード盤の下にある”構造を採用。カートリッジなどをすべてターンテーブルの下に設置することで、ほぼLPレコードサイズを実現している。

ほぼLPレコードサイズのレコードプレーヤー「Wheel」
“針がレコード盤の下にある”構造により
ほぼLPレコードサイズを実現

レコードプレーヤーでは、埃対策も重要となる。「Wheel」では、LPレコード盤自体が上から落ちてくる埃をガード。演奏面や繊細なカートリッジ周辺を守ることで、従来のレコードプレーヤーのような大きなカバーが不要となった。この仕組みも、「Wheel」の小型化に貢献した。

ほぼLPレコードサイズのレコードプレーヤー「Wheel」
レコード盤自体が埃をガードする仕組み

「Wheel」は縦置きも可能だ。LPサイズのターンテーブルを置く場所の部屋では、壁に取り付けることもできる。

ほぼLPレコードサイズのレコードプレーヤー「Wheel」
設置例:壁で回転するLPレコードでは、
インテリアとしてもおしゃれかも?

中心部のスピンドルがコントローラーになっている。スピンドルを様々に操作することで、電源のオン/オフ、演奏の一時停止/再開、ボリュームの上げ下げ、次の/前のトラックへの移動がコントロールが可能だ。例えばボリュームは、スピンドルをつまみ、左右に回すことで調整できる。

ほぼLPレコードサイズのレコードプレーヤー「Wheel」
中心のスピンドルがコントローラー

出力端子は昔ながらのもの。直接ヘッドフォンを接続したり、手持ちのアンプなどに出力できる。

ほぼLPレコードサイズのレコードプレーヤー「Wheel」
プレーヤー背面にある端子類
意外にもトラディショナル?

ほぼLPレコードサイズのレコードプレーヤー「Wheel」
「Wheel」の使用例

開発したのはオランダの家族経営企業Miniot。同社は現在、クラウドファンディングサイトKickstarterで出資者募集のキャンペーンを実施中。本稿執筆時点では、568ユーロの出資で「Wheel」をひとつ入手可能だ(日本への送料60ユーロ別途)。入手に必要な金額はキャンペーンが進むにつれて上昇し、終了後の市販価格は806ユーロになる。出荷は2017年12月に予定されている。

米国の調査会社Statistaの調査によれば、米国でのLPレコードの売り上げは、2009年には年間90万枚にまで落ち込んでいたものが、2016年には1,310万枚にまで回復したという。2007年以降、あらゆるフォーマットの音楽売り上げが落ち込んでいる中、LPレコードだけが増加しているそうだ。

日本でも、LPレコードやカセットテープの専門店が徐々に増えてきている。とはいえレコードの再生にはプレーヤーが必要で、これがLPレコード購入への障壁のひとつとなっている。レコードプレーヤーはCDプレーヤーやMP3プレイヤーよりもサイズが大きく、設置場所の確保が難しいためだ。だが「Wheel」であれば、壁に掛けるなど、設置場所を作り出せるかもしれないし、設置場所作りを楽しめるかもしれない。

LPサイズのプレーヤー「Wheel」