月の地下のイメージ
(c)Akihiro Ikeshita for Kaguya image

月の地下に、長さ50kmにわたって伸びる巨大な横穴が見つかったと宇宙航空研究開発機構(JAXA)が発表した。日本の月周回衛星「かぐや」が発見した。

かぐやは2007年に日本初の大型月探査機としてH-IIAロケットによって打ち上げられた衛星。アポロ計画以来最大規模の本格的な月探査として注目を浴びた。月のまわりを巡りながら、高性能な電波レーダーを使い、表面の組成から地下の構造まで調べていた。


かぐやのイメージ
日本の月周回衛星「かぐや」(出典:JAXA)

今回は、月の火山地域であるマリウス丘地域で、以前かぐやが発見した縦孔を東端として、西に約50km延びる空洞が見つかった。

天井まで数十メートルの高さ、数百メートルの広さがあるとの推定だ。かつて月に噴火があり、溶岩が流れたあとにできた「溶岩チューブ」と呼ぶ地形と、JAXAは分析している。

横穴の存在は、将来、人類が月面で活動する際に重要だ。月面は、地球と異なりたえず宇宙から放射線が降り注ぐ厳しい環境だが、地下空洞に入れれば逃れられる。月面基地の建設地の最適だ。

さらに月面と異なり隕石によって壊れていない新鮮な岩石があるため、科学的な課題を研究する上でも有用だ。また空洞ができる際に溶岩内に水などのガス成分を捕獲している可能性もある。