カセットテープのイメージ
カセットテープ再び人気

ちまたではカセットテープの人気が再び高まっているが、すでに多くのメーカーが撤退してしまっている。米国発のこんな話題が注目を浴びているが、日本ではちょっと待ったとの声もある。

話題の発端は、米国の経済紙「The Wall Street Journal」の日本版が掲載した「カセットテープ復権、しかし誰も作っていなかった」という報道。


米国で一度は衰退したカセットテープが、音楽好きの若い世代や、かつてカセットテープに親しんだ層の支持を得てまた脚光を浴びるが、すでに多くのメーカーが撤退し、残ったメーカーが資材や設備の確保に奔走しているという内容。

ちなみに英語版の記事がもとになっており、原題は「Making Cassette Tapes Cool Again(カセットテープを再びクールに)」。恐らくドナルド・トランプ氏の米国大統領選でのスローガン「Make America Great Again(米国を再び偉大に)」をもじったのだろう。

翻訳でまったく違った見出しがついたのは、日本の読者に分かりやすくとの配慮だろうか、しかし思わぬ反応があった。カセットテープの製造、販売を続ける国内企業、マクセルHDが「ここ日本ではこの「マクセル」が現在も一生懸命カセットテープ「UR」を製造・販売しています」とTwitterで一言を呈したのだ。


マクセルHDは1961年に設立。当初から磁気テープ事業を手がけ、現在も設備や資材を安定して確保し、「UR」ブランドで製品を供給し続ける立場からすれば、海外の動向とはいえつい自らの存在を訴えたくなっても無理はない。

今日では磁気テープに限らず、電池から電子部品、光学部品など幅広く手掛けるマクセルHDだが、2016年には、カセットテープ発売50周年記念し、往年の人気ブランド「UD」のデザインを復刻した製品を数量限定で発売するなど、この分野にかける情熱は衰えていない。

またURブランドのカセットテープは、ブルーレイディスクやHDDなどの記録媒体と並んで直販サイトなどで普通に扱っており、在庫の種類も録音時間10分、30分、46分、60分、90分と豊富だ。ちなみに価格は、例えば録音時間10分の4巻パックで367円(税込)と手頃。高騰などの心配はひとまずなさそうだ。