iPhone Xのイメージ

Appleの新型スマートフォン「iPhone X」は、総合評価で「iPhone 8」「iPhone 8 Plus」を下回った。米国の消費者団体が発行する雑誌Consumer Reports(コンシューマーレポート、CR)が独立したレビューを実施した。

CRは企業の広告などを掲載せず、読者の購読料や寄付によって成り立つ雑誌で、不偏不党の立場から米国で広く支持をかちえている。以前からiPhoneシリーズの各機種を調べてつど高評価を与えてきたが、一部の熱心なファンが好むような手放しの絶賛をする訳でもない。


今回も公式サイトに詳細なレビュー結果を掲載している。内容をかいつまんで紹介すれば次の通り。iPhone Xは大きく美しい有機ELディスプレイや、優秀なカメラ、便利な顔認証「Face ID」が長所で、現在購入できるスマートフォンの中ではトップ10に入る。

しかし筐体をおおうガラスの割れやすさなどと、やや短いバッテリーの保ちが評価を下げる要因になっている。総合評価はiPhone 8/8 Plusだけでなくサムスン電子Galaxy S8/S8+/Note 8をも若干下回る。

ガラスの割れやすさについては、回転式チャンバーにiPhone Xを入れて耐久試験を行ったところ、3台の標本のうち1台は100回の落下の後でガラスにひびが入り、2台は50回の落下の後にディスプレイが誤作動を起こした。

CRは「こうしたことが起きたのはiPhone Xがはじめてではない」として同じくガラスで筐体をおおうGalaxy S8/S8+を例に挙げている。なお、くだんの弱点がなければiPhone XはiPhone 8/8 Plusより高い評価を得ていたともしている。

さて実際どの機種を買うべきかについて、CRはiPhoneを長く使っている人々については、そもそもAndroidスマートフォンへの乗り換えに興味がないとしてGalaxy S8/S8+などを除外。選択肢はiPhone X、iPhone 8/8 Plusなどになるとしている。

結局CRは「お好みで」として、自らの出した評価にこだわらない姿勢だ。熱心なファンが主張する「iPhone Xはスマートフォンの未来をあらわしているのだ」といった意見にも理解を示している。ちなみにコストパフォーマンスを重視すれば、iPhone 7/7 Plusも悪くないともしている。

もちろんCRによる分析は、機種変更などの際に本体価格が重要になる米国の消費者向けで、携帯電話会社による多額の購入支援がつく日本と感覚が異なる。

ただ「どのiPhoneにすればよいか」が大多数にとって一番の悩みどころになっている部分は共通している。かつてのiPhone 5までであれば、さほど考え込む必要はなかったが、iPhone 5s/5c以降、次第にサイズや性能の異なるさまざまなモデルが登場し、自分に合った機種を調べる面倒さと楽しみは徐々に広がっている。喜ぶべきか、悲しむべきか。

なお未確定の話であるためCRは触れていないが、2018年1~3月には従来の小型サイズを維持し持ち運びやすいiPhone SEの後継モデルも登場するとうわさ。そちらも選択肢として頭の隅には入れておきたい。