新しい漢字規格のイメージ

情報処理推進機構(IPA)は、日本の漢字約6万文字の国際規格化が完了したと発表した。PCやスマートフォンなどで簡単に使える漢字が以前に比べ大幅に増える。

日本の漢字は、実はかなり種類が多い。人名では「わたなべ」という名字だけでいくつもの書き方があるが、PCやスマートフォンをそのまま使っているだけでは正しく出せない場合がある。


規格化した漢字が約1万文字しかなかったためで、足りない分は使う人が「外字」として必要に応じ手持ちのPCやスマートフォンなどに登録する必要があり、そのためにさまざまなアプリケーションも登場している。

だが外字は、他人のPCやスマートフォンでは再現できない場合があり、文書などをやりとりした際、送った側と受け取った側で別の文字になってしまうといったトラブルもまま起こる。

特に住民の氏名を管理しなくてはいけない自治体などでは、外字のやりとりにからむコストは無視できない。

IPAは外字問題の改善を視野に、2010年9月から「文字情報基盤整備事業」を進め、規格化した漢字の種類を6万文字まで増やした。国際標準化機構(ISO)に採用を働きかけた結果、12月22日に出たコンピューターなどで扱う文字に関する規格の最新版「ISO/IEC 10646(Universal Coded Character Set) 第5版」が反映した。

ちなみに、今回の件で「日本語の全漢字がコンピューターで利用可能になった」といったうわさも流れたが、IPAはそのような説明はしていない。何をもって日本語の全漢字とするかを決めるのは簡単ではないためだ。

漢字に関する権威ある辞典「大漢和辞典」を発行する大修館書店のWebサイトでは、異体字なども含めた漢字の難しさと奥深さについて紹介している。