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日本政府が運営する情報通信研究機構(NICT)は量子コンピューターでも解読が困難な格子理論に基づく新暗号方式「LOTUS(ロータス)」を開発したと発表した。

現在スマートフォンやPCでセキュリティを守るために使っている「公開鍵暗号」を置き換えられるという。


公開鍵暗号は、サイバー犯罪者が、IDやパスワードを盗むのを防いだり、プライバシーを守ったりするために広まっている。しかし将来、量子力学の原理を用いて従来のコンピューターでは難しい性能、機能を発揮する「量子コンピューター」が普及すれば、誰でも簡単に解読できてしまう恐れがある。

かくして今のうちに「耐量子性」のある新たな暗号を作っておこうという動きが世界で盛り上がっている。

米国の国立標準技術研究所(NIST)でも暗号を公募し、日本のNICTが参加。今回のLOTUSはその書類選考を通過した69件の候補の1つになった。さらに3年以上かけて候補の評価、選定が進む見通しだ。

LOTUSの特徴は耐量子性に加え、Webブラウザー、データベースなどに組み込み可能で、暗号の専門家でなくても安全に使えるところ。暗号化した情報をもとに戻す際に、内容が損なわれていないことを確かめる仕組みがあり、さまざまな通信、交通、産業といった分野で使える汎用性の高さがうりだ。

LOTUSの概要は、2018年4月12~13日に米国フロリダ州で開く会議「First PQC Standardization Conference」で発表予定。