下水汚泥から水素を作る装置
すでに福岡市で実験した(出典:国土交通省)

人間の排泄物などからできる「下水汚泥」をもとに水素燃料を作り、燃料電池車(FCV)などに供給する取り組みが、いよいよ日本で本格化する見通しだ。国土交通省が後押しする。

各家庭やオフィスのトイレなどから流れた下水を集め、処理して生まれる汚泥は、実は天然ガスや肥料といったさまざまな資源を取り出せるとして最近注目を浴びる。海の向こう、米国では「原油」によく似たバイオ燃料をつくることにも成功している。


下水汚泥から原油を製造
海外では下水汚泥から「原油」を作った例も(出典:PNNL)

日本政府も下水汚泥には熱い視線を送る。特にFCVを走らせるために必要な水素燃料が沢山とれそうだと考えている。

国交省は2014年~2015年に福岡県は福岡市で下水汚泥から水素燃料を製造、供給する実験を行った。その成果をもとに、「下水汚泥エネルギー化技術ガイドライン」を改定。水素燃料に関する情報を充実させた。

下水汚泥から水素を製造する装置
下水汚泥から水素を取り出す装置(出典:国土交通省)

今後、地方の自治体などがガイドラインを参考に、こうした取り組みを始められるよう支援する。先行事例なども紹介している。

ちなみにガイドラインは国交省のWebサイト上に公開している。人間の排泄物から生まれる下水汚泥の活用方法について、詳細かつ克明に解説しており、日本政府の「本気」を感じられる内容となっている。