太陽光で走る電動アシスト自転車「Kvaern」

「Kvaern」は太陽光で走る電動アシスト自転車。デンマーク コペンハーゲンに本拠を置くスタートアップ企業Kvaernが開発した。

ソーラーパワーで走る電動アシスト自転車「Kvaern」
太陽光で走る電動アシスト自転車「Kvaern」

ソーラーパネルを装備した電動アシスト自転車や電動バイクはすでにいくつも発表されている。だが自転車やバイクのボディには、ソーラーパネルを貼れる場所が少なく、長距離ライド可能な電力を賄うのは難しいのが現状だ。

太陽光で走る電動アシスト自転車「Kvaern」
参考画像:ソーラーパネルの効率的な設置場所を探る例
(画像は「SPARK Awards」でファイナリスト作品の1つに選ばれた「Solarbike」)

思い切って大型のパネルを取り付けたものも存在しているが、これらはパネルが走行性能に悪影響を与えており、普及は伸び悩んでいる。

大型のソーラーパネルを取り付けた例
参考画像:大型のソーラーパネルを取り付けた例
(Van Dalenさんが開発した「Maxun One」)

「Kvaern」では、テスラのパワーウォールからインスピレーションを得たバッテリーシステムを採用。これにより、ソーラーパネル問題の解決に取り組んでいる。

太陽光で走る電動アシスト自転車「Kvaern」
「Kvaern」のテスラ パワーウォールからインスピレーションを得たバッテリーシステム

Kvaernのバッテリーシステムには、大型のソーラーパネルが付属している。これを太陽光が当たる場所に設置すると発電がなされ、パワーウォールに似たルックスのバッテリーに充電される。これが、Kvaernのバッテリーシステムの仕組みだ。

電動アシスト自転車では、利用者が自転車を使用しない、夜間に充電をするケースが多くなる。だが、ソーラーパネルは夜間の発電ができない。なので、昼間に発電してバッテリーを充電し、夜間にその電力で自転車に充電をするというのは、実に合理的なシステムと言えるだろう。

実はこれと同じアイディアの製品も、複数の企業が発表している。だがそれらは特定の電動アシスト自転車/電動バイクに合わせてカスタムメイドされたもので、価格が高く、普及には至っていない。

太陽電池で充電するパーキングステーション「Spark」
参考画像:太陽電池で電動バイクを充電するパーキングステーションの例

「Kvaern」のバッテリーシステムでは必要最低限のものだけが提供され、購入者はバッテリーシステムを自宅の駐輪場や駐車場などに、自分で取り付けるという方式を採用。これにより価格をぐっと下げることができた。またスペースを取らないというメリットも。

太陽電池で充電するパーキングステーション「Spark」
「Kvaern」のバッテリーシステムを自宅駐輪場に設置した例
場所を取らないので従来と同じ台数の自転車を置ける

自転車本体についても触れておくと、250Wのモーターを持ち、時速25キロまでのアシストをする電動アシスト自転車だ。電動アシスト自転車で速さを競ってもしょうがないのだが、開発元は「Kvaern」の0-25キロ加速が4.5秒であることを、しきりとアピールしてくれた。

太陽光で走る電動アシスト自転車「Kvaern」
ちなみに、0-25キロ加速4.5秒は
普通の自転車でも、割と余裕で達成できる

バッテリーはトップチューブに隠されており、外からは無骨なバッテリーの外観が目に入ることはない。このバッテリーは、フル充電で約50キロの走行が可能だ。

太陽光で走る電動アシスト自転車「Kvaern」
バッテリーは、トップチューブに隠されている

バッテリーは取り外すことができる。曇りや雨の日が続き、太陽光では十分な発電ができなかったときには、自宅やオフィスのコンセントから充電可能だ。

太陽光で走る電動アシスト自転車「Kvaern」
バッテリーは取り外し可能

Kvaernは「Kvaern」の市販化に向けて、近日中にIndiegogoでクラウドファンディングプロジェクトを開始する予定。価格や発売時期などは、プロジェクトスタート時に発表される。

太陽光で走る電動アシスト自転車「Kvaern」

「Kvaern」の日本発売についてKvaernに尋ねたところ、創業者でありCEOのJonas Gissel氏から「Yes the bike will be available in Japan.」との回答を得た。

クラウドファンディングプロジェクトには失敗するリスクもあるし、日本対応に本当に取り組んでくれるのかは現時点ではなんとも言えない。だが、「Kvaern」にはペダルセンサーも装備されているし、日本仕様への変更はそれほど難しくないと考えられる。「Kvaern」の日本発売に期待したい。

太陽光で走る電動アシスト自転車「Kvaern」
ボディは軽量で、持ち運びも容易なのだとか