メルセデス・ベンツ「CLS」が7年ぶりにフルモデルチェンジを受けて販売開始された。クーペのスタイルと、サルーンの快適性/機能性を併せ持つ「4ドアクーペ」のニューモデル。


メルセデス・ベンツの新しいデザイン語法が初めて採用されたモデル。それだけではなく、最新のパワートレインが搭載されている。その他、安全運転支援システム「インテリジェントドライブ」なども搭載された。


エクステリアデザインでは、フロントにシングルルーバータイプのダイヤモンドグリルを採用。また下部の幅が広がる「台形型」のデザインとしている。フロントエンドはサメの鼻先を想わせる造形。ヘッドライトは細く、幅の広いデザインで、側面は内向きの傾斜を与えられた。


リアではコンビネーションランプが低い位置に置かれ、ワイドなプロポーションが強調されている。


インテリアデザインでは、2つの12.3インチディスプレイを一枚のガラスカバーで融合したコックピットディスプレイが特徴。これは空中に浮かんでいるように見え、インテリアデザインの水平方向の流れを強調する中心要素となっている。コックピットディスプレイのデザインは、「クラシック」「スポーツ」「プログレッシブ」の3種類から設定可能だ。


インテリアにはまた、「イルミネーテッドエアアウトレット」が装備された。タービンエンジンをイメージした送風口で、64色から選択可能なイルミネーションが内側に仕込まれている。エアコンの温度を上げる操作を行った場合にはアンビエントライトが赤く、温度を下げる場合には青く光るなど、操作内容が直感的に感じられる機能も備えられた。



ステアリングはSクラスと同じデザインの、メルセデス・ベンツ最新世代のものが採用されている。手を放さずにナビゲーションの操作や車両の設定などが行える「タッチコントロールボタン」や、「アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック（自動再発進機能付）」を操作するスイッチも備えられた。


クーペでありながら、5人乗りの設定。後席の乗降性が向上している。


インテリアカラーは、新色「マサラブラウン/エスプレッソブラウン」や「マキアートベージュ/マグマグレー」を始め、5色から選択可能だ。


パワートレインとしては、「CLS 220 d スポーツ」には2.0リッター直列4気筒BlueTECエンジンが採用された。Eクラスにも搭載されているこのクリーンディーゼルエンジンは、最高出力143kW（194PS）、最大トルク400N・m（40.8kg・m）を発生する。


「CLS 450 4MATIC スポーツ」に搭載されるM256エンジンは、「新型直列6気筒エンジン」と「ISG（インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター）」、「48V（ボルト)電気システム」などの新技術を搭載。M256エンジンは単体で最高出力367PS（270kW）、最大トルク500Nmを発生する。


「ISG」はエンジンとトランスミッションの間に配置された、最高出力16kW 、最大トルク250Nmを発生する電気モーター。この電気モーターと「48V電気システム」により、従来のハイブリッド車のような回生ブレーキによる発電を行い、約1kWhの容量のリチウムイオンバッテリーに充電。エンジンが低回転時には、その電力を利用して動力補助を行うことで、高い効率性と、力強い加速を実現している。


運転支援機能としては、昨年発表された「Sクラスセダン」と同等のシステムが全てのモデルで標準装備された。先行車との車間距離のみならず周囲の交通状況を常に監視して、従来よりもステアリングアシストが作動する状況を大幅に拡大させた。車線が不明瞭または表示されていない場合には先行車を追従する。また、システム起動時に高速道路上で自動停止した場合、30秒以内（一般道は3秒以内）であれば自動再発進が可能となり、渋滞時のドライバーの疲労を大幅に低減する。

メーカー希望小売価格は、2.0リッター直列4気筒BlueTECエンジンを搭載した「CLS 220 d スポーツ」が799万円で、M256エンジンを搭載した「CLS 450 4MATIC スポーツ」が1,038万円（いずれも消費税込み）。