
最大の特徴は、CPUにIntelのAtomプロセッサ(x7-Z8750)を搭載していること。ARMではなくx86アーキテクチャを採用しているので、これまで蓄積されてきたWindows用のソフトウェアをそのまま利用できます。
「Sirius A Pro」にはどのような活用方法があるのでしょうか?そしてそのような活用方法に堪える性能を持っているのでしょうか?開発・販売元であるOckel Computersからサンプルマシンを借り、検証してみました。
■どんな製品?
「Sirius A Pro」とは、スマートフォン(よりはちょっと大きな)サイズのWindows 10 PC。スマートフォン同様、カバンやポケットに入れて手軽に持ち運べます。

スマートフォンと異なるのは、そのポートの多さ。USB 3.0ポートが2つ付いているだけでもかなりびっくりですが、USB Tyepe CポートやDisplayPortも付属します。HDMIポートはミニやマイクロではなく、フルサイズ。変換アダプタを使うことなく、家庭のテレビやオフィスのPC用モニターに接続できます。そして、有線LANポートまでついています。

■例えばこんな使い方
◆Photoshop、使えます
Microsoftは2016年の12月、Qualcommと技術提携しARM版Windows 10をリリースすると発表。デモではPhotoshopが動作するとしていました。
これを見て、「Photoshopが動作するUMPCが登場するのでは?」と喜んだ人は多いでしょう。でもその後、雲行きは怪しくなりつつあります。また、iPad用のフル機能のPhotoshopがリリースされるといううわさもあるのですが、こちらは2019年以降になるようです。
その点、「Sirius A Pro」は現時点ですでにPhotoshopが動作するUMPC。Photoshop CS2をインストールしてみたところなんの問題もなく起動し、いつものように画像編集ができました。

お借りしたマシンなので自分のライセンスをインストールするのは控えました
「Sirius A Pro」はポート類が豊富。SDカードリーダーがあれば、「一眼レフで写真を撮り、Sirius A Proを使ってその場でレタッチ」ができてしまいます。
もっとも、6インチのタッチスクリーンを指で操作して画像編集するのは、さすがにかなり厳しいので、Photoshopを使いたい方には、コンパクトなマウスの携帯をおススメします。

◆動画の編集、できなくはありません
最近は家ではPCを使わないという人でも、長く保存しておきたい動画の編集ではノートPCを使うケースが多いのではないでしょうか?例えば子どもたちの運動会やピアノの発表会。これをビデオカメラで撮影し、編集した後にBDディスクに焼いて親戚に配る。こんなときにはいまでもPCは便利なデバイスです。そのような作業も、「Sirius A Pro」でできます。年に数回、運動会シーズンなどでしかPCを使わないのに、場所を取るPCを部屋に置きたくないという人に「Sirius A Pro」はぴったりかも。

ただし、動画の編集後、BDドライブを使ってディスクを焼く際には、ACアダプターが必要となる点にはご注意ください。バスパワーだけだと、電力不足が発生します。

(結果は利用するHDDの機種によって異なるかもしれません)
◆テレビPCとして使えます
レンタルビデオ屋に代わって定着しつつある動画配信サービス。これも、「Sirius A Pro」で利用できます。フルサイズのHDMIポートが付属しているので、アダプタなしでテレビと接続できます。例えば出張に出かけたとき、ホテルで室内のテレビに接続すれば、いつもの動画配信サービスを視聴してリラックスできます。
いまどき、Amazon Fire TV Stickを使えば大抵の動画配信サービスを視聴できるのですが、中にはFire TV Stickが対応していないサービスも。その点、Windowsなら幅広いサービスを利用できます。
◆フルブラウザを使えます
スマートフォンでWebサイトをブラウズすると、基本的には、スマートフォンサイトが表示されます。でもスマートフォンサイトは時にちょっと不便。例えばAmazonの注文履歴で「未発送の注文」を表示すると、「注文がみつかりません」と表示されません?実際にはいろいろ注文しているのに…。
こんなときに「Sirius A Pro」があれば便利。PCサイトを表示してくれるので、未発送の注文をチェックできます。Amazon以外のショッピングサイトでも、PC向けサイトの方が画像などを確認しやすいことが多く便利です。
■ここが気になった
実際に使ってみて、気になったのはバッテリーの減り方が早いこと。内蔵バッテリーだけで映画やバラエティ番組を何時間視聴できるかを試したのですが、スタートから約3時間20分で自動シャットダウンが作動するという結果に。スペックではバッテリー持続時間は約4時間となっていますが、実際にはそれよりもちょっと短いかもしれません。
救いは、「Sirius A Pro」にType Cポートがあること。このポートのおかげで、モバイルバッテリーから充電できます。

びっくりするほど高速で減っていきます
ノートPCやWindowsタブレットでは、バッテリーの充電に専用のACアダプターが必要な機種もあります。そしてそのACアダプターは、PCやタブレット自体が小型軽量であることを台無しにしてしまうサイズの場合も。その点「Sirius A Pro」なら、スマートフォン用のアダプターやモバイルバッテリーを流用できて便利です。
■Windows、必要だよねって人に
「Sirius A Pro」は出張の多い、出先でプレゼンすることの多いビジネスパーソンにぴったりなビジネスツール。いまどき仕事の多くはスマートフォンで処理できますが、ときにどうしてもWindowsでなければできない作業も。とはいえ、そんなときのためだけに重いノートPCを持ち歩くのは気が進みませんよね。でも「Sirius A Pro」があれば、もしもの作業を進められるだけでなく、ホテルで動画サービスを楽しめたりもします。
デスクトップPCの代わりにも使えます
ビジネスだけでなく、エンターテインメントツールとしても、「Sirius A Pro」は使えます。例えば音楽や動画の配信サービスが主流になる以前に、ダウンロードサービスでWMA形式の音楽ファイルやWAV形式の動画ファイル(DRM付き)を購入してしまったという人もいるでしょう。これらはそのままではスマートフォンで視聴できません。でも「Sirius A Pro」なら大丈夫。過去の資産を無駄にすることなく楽しめます。
もはやWindows PCをメインで使ってはいないけど、たまに必要になる。でも、そのたまに必要になるときのために場所を取るノートPCを部屋に置いておくのはちょっと…。そんな人に、「Sirius A Pro」はぴったりです。
「Sirius A Pro」は、Ockel Computersの公式オンラインショップで購入できます。スペックや価格、購入方法について詳細は、公式オンラインショップを参照してください。