PHRACTYLのeNVTOL「MACROBAT」

南アフリカのスタートアップPHRACTYLが「MACROBAT」を開発しています。独自の離着陸システムで滑走路不要で離陸でき、悪路にも着陸可能であることを特徴とした電動の“ほぼ垂直”離着陸機(electric Near-Vertical Take-Off and Landing:eNVTOL)です。

アフリカでの道路問題解消に向けて開発されている乗り物。PHRACTYLによれば、アフリカでは道路網が未発達な場所があり、ある地点から別の地点にクルマを使って移動するのが困難なケースが多々あるそう。かといっていまから道路を建設したり鉄道線路を敷設したりするには費用の捻出が難しいそうです。


PHRACTYLのeNVTOL「MACROBAT」
アフリカでは道路網が未発達な場所があり

PHRACTYLのeNVTOL「MACROBAT」
クルマを使っての移動が難しい地点が存在するのだとか

「MACROBAT」はそのような厳しいアフリカの道路状況下で、人の移動や物の輸送をよりスムーズにする乗り物。空を飛ぶので道路建設コストがかからず、独自の離着陸システムのおかげで滑走路の建設も不要で、目的地までダイレクトに短時間で移動できる乗り物として開発されています。

その特徴は“2本の足”にあります。その独自構造により、荒れ地であっても着陸できるようになります。

PHRACTYLのeNVTOL「MACROBAT」
鳥がどんな場所にでも舞い降りるように
「MACROBAT」もどこにでも着陸できます

“足”は離陸時には一杯まで伸びてプロペラのブレードが地面に対してほぼ平行になる姿勢を取り、ほぼ垂直での離陸を可能にします。

PHRACTYLのeNVTOL「MACROBAT」
「よっこらせ…っと」

また、“足”は離陸後は本体に密着し、風の抵抗を極力受けないポジションに。このような“足”の動きは、鳥の足の動きからヒントを得ているのだとか。

PHRACTYLのeNVTOL「MACROBAT」
自然に学んだ乗り物、ですね

スペックとしては航続距離では150km、最高速度180km/h、ペイロード150kgを目指しています。

PHRACTYLのeNVTOL「MACROBAT」
将来的には荷物輸送にも

すでに道路や線路といったインフラが隅々まで行き渡っている日本から見ると、「MACROBAT」のありがたみはあまり感じられません。でも「MACROBAT」がアフリカ大陸で普及し始めると何か面白いことが起こるかも。例えば欧州の国には日本のように架線のこまめなメンテナンスができないために、電車ではなくディーゼル車を採用していた地域があったのですが、そのような地域の中には日本に先んじて水素車両の採用を始めているところがあります。また日本のようにおつりを正確に出す機構が作れないので自動販売機が普及しないと言われていた地域では、日本より早く電子マネーが使える自販機が浸透したところも。

アフリカの国々でも道路インフラが無いがゆえに、VTOLのシェアリングなど日本とは異なるサービスが発達するかもしれません。例えば買い物に出かけるなど日本でなら自転車を使うような距離でも、アフリカだとVTOLシャリングを利用して空を飛んで行く、なんてことになったら面白いですね。