カナダBiktrix Ultimate Electric Bikes（以下、Biktrix）が新型電動アシスト自転車「XD」を発表しました。2022年の秋の販売開始を予定しています。


Biktrixは、スポーツタイプやMTBタイプの自転車にはセンターモーターが適していると主張するメーカー。センターモーターはハブモーターと比べて前後重量バランスが良く、回頭性・コントロール性が高いためです。このため同社はエントリーモデルや街乗り用モデルでは価格を重視してリアハブモーターを、ハイエンドモデルやMTBではセンターモーターを搭載してきました。


今回発表された「XD」は、“世界最強パワーの電アシ”を目指して開発されたモデル。同社従来モデルの2倍となる2,000W（2.68HP）出力のセンターモーターを搭載しています。最大トルクも300Nmと、高い登坂能力・牽引能力を発揮できるスペックとされました。


ところがこのセンターモーターを自転車に装備したところ、従来のドライブトレインではそのパワーを十分に活用できなかったそう。高出力を活かして高速走行をしたり、高トルクを活かして重い荷物を牽引したりするとチェーンが外れるといったことが発生したそうです。従来の自転車用チェーンやスプロケットは0.2馬力程度の人間のペダルパワーに対応して設計されており、2.68馬力出力のモーターでの利用は想定されていないのだとか。


そこでBiktrixはドライブトレインを分割。自転車の右サイドには従来通りのチェーンとスプロケットを残し、左サイドにハイパワーモーター専用のドライブトレインを追加しました。チェーンにはスポーツカートなどに利用される219規格のパーツを採用しています。


こうして開発された「XD」はBiktrixによるテスト走行で、64km/hでの走行が可能であることが確認されました。


64km/hは驚くほどのものではありません。驚くべきは専用ドライブトレインの発揮するトルクと強度でしょう。一般的な電アシでは登れないような坂道も「XD」であれば楽に登れるとBiktrixは主張しています。


またBiktrixは、「XD」による牽引テストも実施。通常であればピックアップトラックなどで牽引するトレーラーを牽引できたとしています。トレーラーの重さは約800kg。この重さを引いてもチェーンが切れたり、スプロケットの歯が欠けることはありませんでした。



とはいえ約800kgのトレーラー牽引は実用的とはいえないみたい。走行よりも問題になるのが制動で、ブレーキをかけても、慣性力によって前進を続けるトレーラーを止めることはできなかったのだとか。


さて、「XD」に搭載されたアシストシステムはセンサーコントロールタイプではなく、利用者がスロットルを使って操作するタイプ。このため日本では電動アシスト自転車として公道を走行することはできません。Biktrixはセンサーコントロールタイプも開発していますが、モーターがハイパワーすぎるために、日本では電動バイクとして扱われることになるでしょう。


価格は5,999ドル。Biktrixは公式Webサイトで特別価格（4,999ドル）での予約を受け付けていたのですが、すでに初回と第2回販売分までは売り切れとなっており、Biktrixは購入希望者に対してウエイトリストへの登録を勧めています。