
「poimo」とは、風船構造を持った電動モビリティ。使わないときには小さく折り畳んで持ち歩き、ポンプで空気を入れることで、乗り物として利用できるという仕組みを持っている。

従来のパーソナルモビリティは重くて大きいため、使用しないときの可搬性や収納性が良くなかった。また、折りたたんでもかさばるというデメリットも持っていた。だが「poimo」は風船構造で作られているため、不要なときには空気を抜くだけでコンパクトに収納できる。そして必要なときには膨らませて使用するというこれまでにない使い方が可能だ。

今回開発された新たな「poimo」は、ソファ型モビリティとクッション型のやわらかいコントローラの組み合わせで構成されている。本体は4輪を備えた安定性の高いソファ型で、誰でも簡単に乗れる。また、電動車椅子用の駆動モジュールを採用することで、可搬重量や登坂性能、走行時間を改善した。

コントローラは変形すると電気抵抗が変化する特殊なスポンジを内蔵しており、握ることで直進や停止、旋回といった操作ができる。コントローラはネックピローとして利用することも。この場合には頭を傾けた方に車体を動かす、といった使い方が可能だ。

今回開発された試作機では、実際の歩道や道路に近い環境での実証実験が実施された。東京ポートシティ竹芝と鹿島スタジアムでは試乗会が実施され、約200名の参加者が参加して一般ユーザーでもすぐに「poimo」を操作できることが実証されたという。
また、ハウステンボスでの走行実験も実施された。この実験では開発者らが約48時間にわたって「poimo」に乗り、凹凸のある不整地路面でも快適に走行できることを確認した。
8月9日から開催されるSIGGRAPH 2022 Emerging Technologiesでは、実際に試乗できる形での展示が実施される。
新型「poimo」を開発したのは、明治大学理工学部 専任講師 新山龍馬氏、宮城大学事業構想学群 准教授 佐藤宏樹氏、東京大学大学院工学系研究科 特任教授 鳴海紘也氏、教授 川原圭博氏、東京大学大学院情報学環 教授 筧康明氏、元修士課程学生 渡辺啓介氏、法政大学デザイン工学部 客員准教授 Seong Young ah氏、メルカリmercari R4D リサーチャー 山村亮介氏らの研究グループ。明治大学・宮城大学・東京大学大学院工学研究科・法政大学の研究チームは主にモビリティのボディ設計を担当し、東京大学大学院情報学環・メルカリの研究チームはやわらかいコントローラの設計と実証実験を担当した。