米国 Adobe Systems が盛りだくさんな製品発表を行った。同社初のハードウェアとして、iPad で絵を描くための電子ペンと電子定規「Ink & Slide」を2014年末に日本でも発売する。また画像編集アプリケーションなどのサブスクリプション(定額課金制)サービス「Adobe Creative Cloud(CC)」も刷新した。

Adobe がハードウェア「Ink & Slide」発売、iPad で繊細な絵を描ける電子ペン&定規、連携アプリも
Ink & Slide

■電子ペンと電子定規「Ink & Slide」


電子ペン「Ink」、電子定規「Slide」は、手描きの滑らかさと製図版の正確さを iPad で再現できる製品とうたっている。

自由に絵を描くためのアプリケーション「Adobe Sketch」、製図用アプリ「Adobe Line」を利用することで、iPad でさまざまなイラストや図面を生み出せる。Adobe は関連する SDK(ソフトウェア開発キット)を公開しており、ほかにも Ink & Slide 対応のアプリは増えていく見通しだ。

これらのアプリは無料でダウンロードでき、Adobe CC に契約していれば、クラウドを介して Photoshop CC などほかのアプリと作成したデータの簡単な共有が可能だ。

なお、Ink & Slide の 製品化にあたっては、電子ペンメーカーの 米国 Adonit が技術面で協力している。第4世代 iPad、iPad Air、第1〜2世代 iPad Mini と組み合わせて利用できる。

Ink & Slide の米国での価格は 199.99 ドル(日本円にして2万円超相当)。日本では年末発売の見通しだ。

■Adobe CC の改良


Adobe CC で利用できるアプリ群には多数の改良が加わっている。

まず主力の画像編集アプリ Photoshop CC には、躍動感が出せるぼかしの効果としてモーションエフェクトか使える。画像の特定部分の遠近感だけを滑らかに調整できる遠近法ワープも利用可能。新機能の焦点領域では、浅い被写界深度のポートレート写真を際立たせられるとしている。なお、写真編集に特化した Lightroom は iPad に加え iPhone にも対応し、対応カメラ機種も拡充した。

イラストレーションアプリ、Illustrator CCでは、ライブシェイプなどの機能強化を行った。素早く元データを損なわない方法で長方形の画像を複雑なフォームへと変換し、さらに数クリックでの長方形に戻せる。

組版/DTP アプリ InDesign CC は簡単なドラッグ&ドロップ操作で、表の中の行と列をあちこちに移動できる。

直感的な Web サイトデザインアプリ Muse CC は 64bit 化し、HiDPIディスプレイに対応した。一方、Web サイトデザインアプリの定番である Dreamweaver CC では、インタラクティブにマークアップを確認できる新機能のエレメントクイックビューなどが加わっている。

動画編集アプリ Premiere Pro CC は、 モーショングラフィックスアプリ After Effects CC との新たな連携機能などを導入している。

■980円の料金プラン

同社は、Adobe CC の一部機能を月額980円で使える料金プラン「Creative Cloudフォトグラフィプラン」をあらためて紹介している。また教育機関の向けにはに利用する機器単位でのライセンス制度も用意しており、2人以上のユーザー1台の PC などで Adobe CC を使うことも可能。また学生、教職員は個人版として Adobe CC を月額1,980円で1年間、2年目以降は月額2,980円で利用できる。

法人向けプランではファイル保存機能とコラボレーション機能が加わっており、さらにユーザーごとの権限を管理するためのダッシュボードも利用できる。