韓国サムスン電子は、新型スマートフォン「GALAXY Note 4」はズボンの後ろポケットに入れても曲がらないとするキャンペーン動画を公開した。以前から準備していたと思わせる内容。名指しはしていないが、米国 Apple の「iPhone 6 Plus」が曲がりやすいという騒動と相乗効果を狙っているのは明白だ。

サムスン、無用のキャンペーン--「GALAXY Note 4はポケットに入れても曲がらず」
サムスンの公開した動画は以前から準備していたものと思わせる内容

Apple の iPhone 6 Plus が曲がりやすいという情報は、米国の人気 YouTube チャンネル「Unbox Therapy」が、サムスンの従来機「GALAXY Note 3」と比較する形で動画を公開するなどして一気に広まった。

サムスンが後から便乗したのか、あるいはそもそもの初めから iPhone 6 Plus が曲がりやすいという話題を自社製品の宣伝に利用するつもりだったのかは不明だが、今回公開した動画は蛇足の気味がある。

サムスンのキャンペーン動画

すでに米国の独立した消費者向け雑誌として権威ある Consumer Reports は、iPhone 6 Plus が日常利用には問題なく耐えるという試験結果を公開している。これにより、サムスンの攻撃的なキャンペーンはむしろ浮き上がってしまうだろう。

同社の「空気の読めなさ」は今に始まったことではない。筋萎縮性側索硬化症(ALS)の周知と支援のため氷水をかぶるチャリティ運動「Ice Bucket Challenge」が広まった際も、防水の GALAXY S5 に水をかけ、防水非対応の iPhone をからかい、チャリティの主旨を履き違えているとして多くのユーザーからひんしゅくを買った。

動画で競合製品を攻撃するのは、Apple も「Mac」の宣伝のため、Windows PC を標的にしばしばとった手法だが、サムスンの一連のキャンペーンはいささか趣味が悪い。

メーカーは製品の品質を高めることでユーザーの支持を掴むのが本来。ところが肝心の「GALAXY Note 4」にしても本体にすきまがあるとして批判を浴びている。このような状況では、今度は他のメーカーもサムスンにならって攻撃的キャンペーンを始めないとも限らない。GALAXY Note シリーズはファブレットという分野を広げた独自の価値を持つ製品であり、新モデルのできがよければ自ずからファンは付いてくるはずだ。力を注ぐべきことの優先順序が違うのではないかと言わざるを得ない。