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SIM ロックの不便を訴える総務省の資料(出典:モバイル創生プラン) |
NTT ドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクモバイルが販売しているスマートフォンは、それぞれほかのキャリアでは使えない「SIM ロック」がかかっている。
一部で、Apple などが SIM ロックを解除した SIM ロックフリーのスマートフォンも販売しているが、まだその規模は小さい。
総務省では SIM ロック解除が進めば、手持ちのスマートフォンをそのまま乗り換えがしやすくなると見込む。結果としてキャリアや MVNO のあいだでユーザー獲得のための競争が起きやすくなり、料金の低廉化や、サービスの多様化が進むと期待している。また海外旅行時に手持ちのスマートフォンで現地の安い通信サービスを使える利点もある。
そのため総務省では、キャリアなどが2015年5月以降に発売する機種について、ユーザーが SIM ロック解除を希望した場合は応じるよう義務付ける方針だ。
■キャリアからは懸念も
ただし、キャリアからは、SIM ロック解除に懸念も出ている。大意は以下の通り。
(1)各社の販売するスマートフォンが必ずしも他社のサービスに十分対応していないため混乱が生じる恐れがある
(2)SIM ロックなしだと(長期利用を前提にした)販売促進費を抑制せざるを得ず、機種代金が現状よりも高くなる恐れがある
(3)機種、サービスについてキャリアなどが独自のブランド戦略を進める動機付けが失われる恐れがある、などだ。
総務省はこれに反論も用意している。主旨は以下の通り。
(1)キャリアがユーザーに適切な説明をした上で本人の選択に委ねるべき
(2)現状では機種代金相当分が毎月の料金から割り引かれることが一般的で、ユーザーにとって大きな問題にならない。また端末購入時の行き過ぎた多額のキャッシュバック(CB)はユーザー間の公平性や公正競争の観点から問題で、むしろ抑制は望ましい。
(3)キャリアなどの独自のブランド戦略は、SIM ロックでユーザーを囲い込むのではなく各機種の魅力を最大限引き出すサービスによって進めるべき
キャッシュバックの評価なども含め、総務省とキャリアの主張のいずれが妥当と感じるかは、ユーザーによっても異なるだろう。
総務省ではこの件に関する意見を11月1日〜12月1日の期間、メールと郵送で受け付けている。詳細は同省の Web サイトで確認できる。