ムーミンたちといつも一緒--電子ペーパー式リストウェア「Smart Canvas」は絵本のような楽しさが魅力

「ムーミンですか?可愛い腕時計ですね」

電子ペーパー式リストウェア「Smart Canvas(スマートキャンバス)」を使用する筆者は、よくこんな言葉をかけられる。ボタンを押して画面の表示を切り替えてみせると、驚く人も多い。「いろんな絵が出てくるんですね!どういう仕組みなんですか?」。

筆者が使用する「ムーミンパパ」モデル 1つの時計でさまざまなグラフィックを楽しめる
筆者が使用する「ムーミンパパ」モデル。1つの時計でさまざまなグラフィックを楽しめる

エプソンが展開する「Smart Canvas」は、電子ペーパー式の画面にキャラクターや風景などさまざまなグラフィックが高精細に表示されるリストウェア。2014年2月に発売後、スヌーピー、ミッフィーといった人気キャラクターや有名デザインスタジオとのコラボレーションを次々と展開、30〜40代の層を中心に人気を集めているという。

タイプディレクター 小林章氏が監修した「Monotype」(写真左)と デザインスタジオ WOWが手がけた「WOW」(写真右)シリーズの一例
タイプディレクター 小林章氏が監修した「Monotype」(写真左)とデザインスタジオ WOWが手がけた「WOW」(写真右)シリーズの一例

「ミッフィー」や「ピーナッツ(スヌーピー)」、「ムーミン」のシリーズは磐石の人気
「ミッフィー」や「ピーナッツ(スヌーピー)」、「ムーミン」のシリーズは磐石の人気

腕時計の多機能化が進む中、グラフィックにフォーカスした「Smart Canvas」はどのようなニーズをつかんでいるのだろうか?同製品のマーケティングを担当するエプソン販売 販売推進本部 中村あすか氏に話をうかがった。

■100種類近くのグラフィックが時の流れを巧みに表現

「Smart Canvas」のコンセプトは、“時を感じ、時を楽しむ”。抽象的でイメージがつきにくいが、1度つけてみれば「なるほど」と納得できるかもしれない。各モデルには100種類近くのグラフィックが用意されており、時の経過にあわせて画面の表示が変化。例えば「ムーミン」モデルであれば、ムーミンが起床してから就寝するまでの様子が1時間ごとに切り替わり、まるでムーミンと共に1日を過ごしているような感覚を楽しめる。季節や祝祭日に合わせた絵柄が登場するのも一興だ。日替わりのグラフィックを表示するモードもあり、曜日によって異なる絵柄が楽しめる。


300dpiの高精細な電子ペーパーや省電力化による約3年間の電池寿命といった品質も強みとする同製品だが、ウリはあくまで見た目の楽しさ。別売品として交換用のバンドも多種展開しており、その日の気分や服装に合わせてバンドを替えながら1つの製品を長く楽しむユーザーも多いという。

バンドを替えれば見た目も一新
バンドを替えれば見た目も一新

■“時を感じ、時を楽しむ”にユーザーが共感

ところで、“電子ペーパー式リストウェア”という目新しさとは裏腹に、「Smart Canvas」が搭載する機能は少ないといえる。いわゆるスマートウォッチとは異なり、あくまで感性に響く価値を重視するとして、デジタル時計に一般的なアラームやバックライトといった機能も備えていない。

だが機能面を気にするユーザーは少なく、女性にはやや大きいかと思われるサイズも「画面が大きい方がグラフィックが見やすい」と納得してもらえるそうだ。同製品のコンセプト“時を感じ、時を楽しむ”に共感し、グラフィックが生み出す世界観に満足しているユーザーが多いのだろう。今後も基本的な仕様は維持したまま、キャラクターとのコラボレーションやオリジナルデザインのラインナップを増やしていくことで裾野の拡大に努めていくという。

時間管理だ、効率アップだとユーザーを駆り立てるデバイスが次々と登場する中、小さな画面に絵本のような世界を埋め込み、“時を楽しむ”という独自のコンセプトを確立した「Smart Canvas」。そのコンセプトに共感する人を増やすことができれば、ロングセラーの製品へと育っていくかもしれない。

※3〜5枚目の画像の出典は「Smart Canvas」公式サイト
(C) Mercis bv (C) Moomin Characters TM (C) 2015 Peanuts Worldwide LCC