輝け!comico マンガ大賞の結果発表 受賞者の頭にはベレー帽 |
comico はスマートフォンで多種多様なコミックが無料で読めるサービス。Android 版アプリケーションと iPhone などで利用可能な iOS 版アプリケーションを用意している。比較的狭いスマートフォンの画面でも読みやすくするため、通常の漫画と違って縦スクロールのみで読み進められるレイアウトが特徴。公開される作品は毎日15本、週刊連載は100本以上になり、「毎日週刊誌が発行されているようなもの」という。購読用アプリケーションの累計ダウンロード数は650万回を超えた。
運営コンセプトは「デジタルのトキワ荘」で、優秀な人材を発掘し、創作活動を支援し、読者の開拓を進めるとしている。そのため、新人作家からの作品の投稿を受けつけている。作品が「公式作品」に選ばれた作者には、定額原稿料(月額20万円)とインセンティブ原稿料を支払って創作を支援する。NHN PlayArt comico 事業部マネージャーの春木博史氏によると、月に数名が comico のプロ作家としてデビューしているとした。
NHN PlayArt は comico の電子コミックを中核に据え、紙版の単行本出版からアニメ化、映画化、ゲーム化、グッズ商品化などへ展開し、収益拡大および作者への還元を図る。コミック化の第一弾作品である「ReLIFE」は現時点で2巻まで出版されており、累計発行部数が40万部を超える大ヒット作品となった。ReLIFE について、NHN PlayArt 代表取締役社長の稲積憲氏は「デジタルから紙へ」という新たな流れを生んでおり、「出版社からも注目されている作品」と話す。
comico マンガ大賞は、大賞賞金1,000万円、賞金総額2,000万円という大規模なもの。comico がコンテストを開催したのは2回目だが、2014年の初めに行った際は「自信がなく」(春木氏)フルカラーでなくてもよく、紙の形式でも受け付ける敷居が低いコンテストだったそうだ。今回は「デジタル、フルカラー、縦スクロール」の“comico 形式”という独特のフォーマットの作品に限定して募集したが、前回より相当多い650作品の応募があった。
大きく一般部門と中高生部門の2つに分かれ、それぞれ以下の受賞作品を選出する。中高生部門は選ばれる作品数が多くなっているが、「中高生により多くのチャンスを与えたい」(春木氏)姿勢を示した結果である。「ドラゴン桜」「甲子園へ行こう!」「砂の栄冠」などの作品で知られる漫画家の三田紀房さんが特別審査委員を務めており、各賞とは別に三田紀房賞(1作品)を選ぶ。
【一般部門】
・大賞(1作品)
・少女部門賞(1作品)
・少年部門賞(1作品)
・ギャグ部門賞(1作品)
・エッセイ部門賞(1作品)
・キャラクター部門賞(1作品)
【中高生部門】
・大賞(1作品)
・準大賞(6作品)
・チャレンジ賞(10作品)
一般部門の受賞者には、comico 作家としてデビューする権利も与えられた。中高生部門の大賞と準大賞の受賞者には「公式連載優先権」、チャレンジ賞の受賞者には「担当編集者がつくかも!?(権)」も付与された。今回は「ギャグ部門賞」「エッセイ部門賞」該当者なし。各受賞作品や応募全作品は、comico マンガ大賞の結果発表サイトに掲載されている。
一般部門の大賞 左:受賞者のヌカヅケさん(左)と、プレゼンターのスギちゃんさん(右) 右:賞金の使い道を「短大卒業後の開業資金」と話す |
中高生部門の大賞 左:受賞者のねこがえるさん(左)と、プレゼンターのざわちんさん(右) 右:ざわちんお気に入りのシーンは「描くのに時間がかかった」という |
三田紀房賞 上:受賞者の榛原さん(左)と、選者の三田紀房さん(右) 下:三田さんにベタ褒めされて照れつつも「きちんと一本筋の通るお話を描きたいという気概があった」と話す榛原さん |
なお、発表会の場では comico 発単行本の第二弾となる「保留荘の奴ら」「ナルどマ」「咲くは江戸にもその素質」「ネト充のススメ」についての紹介も行われた。NHN PlayArt comico 事業部の北室美由紀氏によると、現在 comico で配信されている作品に100コマ以上の描き直しが施され、紙版は読みやすく面白くなってるという。