車のガソリンの残量が少なくなるとガソリンスタンドを探さなければならないが、「最適な」ガソリンスタンドを見つけるのに苦労するのが現状だ。また、ガソリンスタンドにたどり着いたとしても、給油ポンプのリーダーにカードを通したり、さまざまな ID コードを入力して、決済の承認プロセスを進めたり、あるいは、ガソリンスタンドのスタッフに現金で支払わなければならない。

今回ドイツのソフトウェア大手 SAP が発表したプロトタイプは、ワンタッチ、ワンスクリーンのソリューション。最も近いガソリンスタンドへのナビゲーションが表示され、ガソリンスタンドでは、自動決済の電子承認プロセスを進めたり、パーソナライズされたクーポンを受け取ったりできるそうだ。

SAP は、米国トヨタ IT 開発センター(トヨタ ITC)、電子 POS ソリューション会社 VeriFone の協力を得て、ドライバーの給油作業をシンプルにする、共同イノベーションプロジェクトを発表した。7月1日〜2日、ライプツィヒで開催された「第14回 SAP Automotive Forum 2014」でプロトタイプも発表された。

このプロトタイプは、マイクロ ロケーション サービスが可能になる新たな無線規格「Bluetooth Low Energy」(BLE)「SAP HANA Cloud Platform」、トヨタ ITC のテレマティクスシステム、VeriFone の POS システムを組み合わせた、コネクテッドカーサービス。

「SAP HANA Cloud Platform」で自動車の位置、ルート、ガソリン残量、ドライバーの関心事などの情報を集計する。一方、VeriFone は販売時点管理(POS)ソリューションを、トヨタ ITC はテレマティクスデータを提供する。こうしたプロセスと情報は、SAP のクラウドを通じて統合され、トヨタ ITC のダッシュボード上で表示されるので、ドライバーはトランザクション全体をワンクリックで管理できる。

ガソリンの残量が少なくなるとドライバーに通知されるので、次に、トヨタ ITC のテレマティクスシステムを活用、位置情報やガソリン残量といったリアルタイムのコンテキストに基づき、ガソリンスタンドの場所が推奨される。その際、優先順位の高いガソリンスタンドなど、ドライバーが事前入力した個人的な嗜好も考慮される。

SAP が HANA でコネクテッドカーの給油をシンプルに、トヨタ IT や VeriFone が協力
ガソリンスタンドをナビゲート(SAP 動画より)

自動車がガソリンスタンドに到着し、給油ポンプの前で止まると、ダッシュボードやモバイルデバイスのアプリをワンクリックするだけで、トランザクションの認証プロセスを進めることができる。

一方、ガソリンスタンドは、ドライバーのプロフィールに基づき、割引やポイント特典などのクーポンを提供できる。給油作業が完了すると、ドライバーは電子レシートを受け取るが、このほか、過去の給油履歴を表示させて、経費報告など、他のシステムにデータをエクスポートすることもできる。

こんなに便利になっても、給油作業そのものはまだ手作業だが…。

コネクテッドカーで給油作業をシンプル化