ファイト不発のCM映像

大正製薬の栄養ドリンク「リポビタンD」。ある年齢より上の層には「ファイトー、イッパーツ! 」と絶叫するCMが記憶に残るが、今や時代錯誤との批判を受けるようになった。そこで「ファイト不発」として新CMが公開した。

リポビタンDといえば、けわしい崖をのぼる2人の青年が、滑落の危機に陥り、例のかけ声とともに気合を発し、懸命に助け合う力強いCMが有名。




昭和の時代から続く長寿シリーズだが、最近になって路線を転換した。いわく「危機迫る中で「ファイトー、イッパーツ! 」と絶叫するのは時代錯誤だという厳しいお声を多数いただき、できたCMがこちらになります」。


従来のように本物の山の崖を登るのでなはなく、屋内などに崖を人工的に再現して挑む、若い世代に人気のスポーツ「ボルダリング」が題材。過去のCMに出演したケイン・コスギ氏が女性とともにボルタリングに興じるなか、女性が足を滑らせる。

すかさずケイン・コスギ氏が手を差し伸べ「ファイト―!」と叫ぶが、女性は軽やかに自力で体勢を立て直し、そのまま昇っていく。「イッパーツ!」という応えを待っていたケイン・コスギ氏は呆然としてから「ジェネレーションギャップ(世代による意識差)」としめくくる。

まさに「ファイト不発」という趣。この女性は日本のプロクライマ―である大場美和選手。1998年生まれで、9歳からクライミングを始め、2015年からクライミングワールドカップ日本代表に選ばれている。

TwitterなどではこれまでのCMの「お約束」がくつがえって、拍子抜けしたあと、おおいに笑ったという人が多い。とはいえ元気のよい「ファイトー、イッパーツ!」も時代錯誤と言わずまた響かせてほしいとの声もある。