■「乗っ取り」 PC 版へ2段階認証を導入しても終わらず
最近、あるサービスから流出したパスワードのリストを使って、別のサービスに不正ログインを試みる「パスワードリスト」型攻撃がインターネット上で猛威を振るっている。
複数のサービスで同じパスワードを使いまわす人が多いためで、LINE でも少なからぬ被害が出た。
同社は対策としてパスワードを変更した人に無料でスタンプを配布するキャンペーンを開始した。さらに、LINE の PC 版アプリに2段階認証を導入。 PC 版で最初にログインする際、メールアドレス、パスワードを入力すると、スマートフォン版に4桁の認証番号が届き、これを3分以内に入力しないと使えないようにした。
LINE は PC 版に 2段階認証を導入したが、まだ乗っ取りは続いている |
しかしなおも乗っ取りは止んでいない。LINE の広報に問い合わせたところ、まだこの件に関するユーザーからの相談が来ているという。
では今後、LINE の iOS 版や Android 版にも2段階認証を導入する可能性があるかを尋ねると、「新たな対策は必要と判断した場合、随時検討していく」とのことだった。ただし詳細についてはセキュリティ保護の観点などから回答できないという。
もし2段階認証を拡大するとして、ユーザー全体に適用するのか、一部に試験導入するかなどさまざまな選択肢があり、どうやって周知していくかも考慮する必要があるだろう。必ずしも IT に詳しくないユーザーを多数抱える LINE にとって、セキュリティ対策の舵取りは難しい。
■中国での「アクセス不能」、Android 版の更新で解決した訳ではない
7月から中国本土では LINE が利用できなくなった。上海など日本のユーザーが多く在留する地域では主要な連絡手段の1つが絶たれ、困惑が広がった。
LINE だけでなく別のメッセージアプリ「カカオトーク」や、オンラインストレージ「OneDrive」、写真共有サイト「Flickr」でも同様の問題が起きている。
原因ははっきりしていない。一説によると香港で民主的な選挙を求めるデモが起きたため、その影響が本土に及ぶのを恐れた中国政府が、情報の流れに制限をかけているのではないかという。
LINE は7月2日になって、中国で人気のソーシャルメディア「Weibo」に設けた公式アカウントでアクセスに問題が生じていると案内した。
Weibo の LINE 公式アカウントによる告知 |
一方、ユーザーのあいだでは同日公開になった最新の Android 版を使うと、これまで通り LINE を利用できるという報告が上がるようになった。LINE が中国政府の情報遮断をかわすための改良を加えたという分析もある。
では事態は解決したのか、といえばそうではない。LINE の広報によると、10日時点で「問題は現在も継続中」で、原因について調査を進めている段階だという。
問題発生から10日目になるが、本当に原因を把握できていないのか、あるいは明らかにできない事情があるのかは分からない。ただ同社が最新の Android 版にどのような改良をしたにせよ、安定したアクセスを保証するものではないという含みは受け取れる。今後 iOS 版に同様の改良が加わったとしても、根本的な解決にはならなそうだ。
巨大市場である中国は、LINE もサービス展開に力を入れている地域。上海では交通機関に LINE のラッピングをした車両を走らせたり、商業施設にLINE のポップアップストアを出店したりと、宣伝にも熱心だ。どのような対策をとっていくのかは注目される。